NTTとドコモが共闘、"卸売り"の秘策に波紋 「フレッツ光」と「ドコモ携帯」のセット売りが実現!?

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ドコモがセット割引を大々的に展開し始めたらどうなるのか。その影響は、「auスマートバリュー」(最大2年間、月1410円割引)を武器に、ユーザーの開拓を進めるKDDI自身がいちばんよくわかっているはず。昨年以降、アイフォーンを導入したドコモに対して有利に販売競争を進めてこられたのも、スマートバリューの貢献が大きい。同じ手法をドコモがとれば、ユーザー獲得に支障を来す。法規制を訴え、ドコモとNTT東西のタッグを何とか阻止したいのが本音だろう。

固定通信の事業者から見ても巨人同士のタッグは脅威そのもの。大分ケーブルテレコムの佐藤英生社長は「大分はほかの県よりドコモのシェアが高い。セット割引をされたらサービスや事業の存続が危うくなる」と訴える。

 ソフトバンクもセット割りに動く

一方、自前の光回線設備を持たないソフトバンクは、立ち位置が異なる。総務省のヒアリングでも、卸売りの条件をチェックする第三者機関の必要性に加え、ユーザー獲得費用を考慮した最低限の取引条件まで提示。「ソフトバンクとしても携帯電話サービスの差別化が難しいからだろう。裏ではセット割引に関してかなり熱心だ」(NTT幹部)。卸売りを活用し、ドコモに負けじと、早期にセット割引を用意するとみられる。

NTTが具体的な価格を決めて卸売りを始めるのは、秋以降の予定だ。野村総合研究所の北俊一上席コンサルタントは「反対する固定通信の事業者でも、一部しか光回線に設備投資していないところも多く、それぞれの主張が異なり一枚岩ではない。落としどころを探すのは難しい」と指摘する。総務省の特別部会長の山内弘隆氏は「あくまで公正な競争を促すことができるかという観点で議論していく」と語る。サービス開始まで、NTTとライバルのつばぜり合いが続きそうだ。

「週刊東洋経済」2014年7月19日号<7月14日発売>掲載の「核心リポート01」を転載)

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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