NTTとドコモが共闘、"卸売り"の秘策に波紋 「フレッツ光」と「ドコモ携帯」のセット売りが実現!?

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これに早くも呼応したのが“身内”のNTTドコモ。加藤薰社長は6月の株主総会で、「光回線と連携したサービスを導入する」と宣言。ライバル各社が恐れるのが、ドコモの携帯とフレッツ光をセットにした割引サービスだ。

もともと、光回線で7割超のシェアを持つNTT東西と携帯市場で4割強を占めるドコモは、電気通信事業法で、特定企業を優遇したサービスの提供が禁じられている。他社から要望があれば等しく手を組まなければならず、ドコモがNTT東西とだけ連携してセット割引をすることは、事実上、不可能だった。

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「光回線の卸売りは現行法上、何ら問題はない」とするNTTに対して、KDDIやケーブルテレビ会社は怒り心頭だ

ところが卸売りだと事情が異なる。光回線サービスの提供主体はNTT東西ではなく、卸先の企業になるからだ。ドコモが光と携帯のセット割引をしても、それは自社サービスの組み合わせになる。また、KDDIなどライバルは光回線の卸売りサービスを提供しておらず、ドコモは他社と手を組む必要がない。

「実質再統合」の声も

NTT東西が卸売りという黒子に徹し、今までできなかったグループ連携を可能にした点で、実に巧妙な戦略だといえる。卸売りの条件については、特定の事業者を優遇せず、どの企業にも公平な条件で提供するとしており、NTTの鵜浦社長は「現行法上、何ら問題はない」と胸を張る。

これに対し、光回線の設備を持つKDDIなどの通信事業者、全国のケーブルテレビ各社は、NTTの方針に怒り心頭だ。7月1日に総務省で行われたヒアリングで、関西電力グループのケイ・オプティコムの藤野隆雄社長は、「(NTTの設備を)安く利用できるようになれば、さまざまな企業による光回線の設備競争がなくなる」と、卸売りを痛烈に批判。KDDIの田中孝司社長は、「法規制を回避した実質的なNTTグループの再統合だ」と指摘した。

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