東急、豪華列車戦略「北海道進出」勝負の2年目 2本目は?他地域での運行は?担当者に聞く

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地元の人たちへの説明の際も、東急だけでなくJR北海道のスタッフもいっしょにやってきて頭を下げてくれた。その意味では北海道におけるザ・ロイヤルエクスプレスは、東急とJR北海道が「ワンチーム」で実現したと考えていいだろう。

ザ・ロイヤルエクスプレスの車内。寝台はない(撮影:尾形文繁)

JRの3つの豪華列車と違い、ザ・ロイヤルエクスプレスには寝台機能がない。JRの豪華列車はいずれも夜は座席をベッドにして眠ることができる。列車の揺れに身を任せながらぼんやりと車窓を見るのは寝台列車の醍醐味だ。一方で、ザ・ロイヤルエクスプレスでは、夜は沿線にあるホテルに宿泊する。「列車の中で寝たいと言う人も中にはいる。ただ、地域に宿泊して温泉やおいしいものを楽しんでもらいたいというのが、われわれのコンセプト」(松田部長)。

もっとも、ななつ星と四季島の旅行商品では、複数泊の場合にうち1泊は旅館やホテルに宿泊するというコースも設定している。寝台列車に慣れていない乗客の間で「揺れる列車ではよく眠れない」という声があるためだ。その意味で、寝台機能を持たないザ・ロイヤルエクスプレスは、地元のホテルに宿泊することでうまく役割分担できているといえる。

来年以降の予定は?

昨年は新型コロナウイルス感染拡大のため、北海道では予定していた5回のうち3回しか運行できなかった。今年は8〜9月に7回の運行を目指す。北海道での運行期間、伊豆のスタッフたちが北海道にやってきて車内サービスを行う。その分だけコストは増える。「運行本数を増やすことは地域に元気になってもらうためでもあるが、事業をやる以上、採算を考える必要もある」(松田部長)。つまり、運行回数を増やして少しでも多く固定費を回収する必要があるのだ。

来年以降の予定は決まっていないが、「またいっしょにやりたいとJR北海道さんと話している」(松田部長)。北海道で運行する夏の期間中、伊豆での運行はない。逆に本州よりもひと足早く秋が訪れる9月ではなく、本州と違い梅雨がない6月に北海道で運行すればその魅力はさらに高まる。だが、6月は伊豆で運行することになっている。伊豆にとって6月は多客期なのだ。

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