北海道のタブー「JR上下分離論」が再燃する理由 謎の新造ラッセル気動車から北の鉄路を考える
北海道の稚内と旭川を結ぶJR宗谷線で3月1日、JR北海道の新型ラッセル気動車「キヤ291-1」が試験運行された。
鉄道車両や除雪機械の製造・販売を手掛ける新潟トランシス製の新造車で、2020年7月に道内に上陸して以来試験運転を繰り返していた。ちなみに、「キ」はエンジンで動く気動車、「ヤ」は役所=事業用という意味だ。
同車両は、国鉄時代に製造されたディーゼル機関車「DE15」の後継として導入された。JR北海道の「安全報告書2020」によれば、2015年度にJR東日本の除雪機械「ENR-1000」を試験導入して除雪性能を確認、これを車両化してキヤ291が製作されたという。
姿を見せた「謎の車両」
DE15が「消えゆくディーゼル機関車」として鉄道ファンの人気を集める一方、客車を牽引することのないキヤ291は「謎の車両」とされる。2016年に同じ新潟トランシス製の「キヤ143形」を報道公開したJR西日本とは対照的に、JR北海道が車両データをほとんど公表していないことも一因だ。
JR関係者によれば、「試験走行では悪天候に見舞われたり、不具合もあったりして思うような結果が得られていない」ということで、正式な運用時期や運用区間はいまだ決まっていない。
一方、3月16日にはラベンダー色の塗装を施した特急気動車キハ261系5000番台の5両(通称「ラベンダー編成」)が石北線(新旭川―網走)を走り抜けた。この車両は2020年10月から運用が始まった色違いの兄弟列車「はまなす編成」とともに定期列車にも使用される車両で、5月8日に札幌-富良野間の臨時列車でデビューし、同月15日からは石北線で特急「オホーツク」「大雪」として運用される予定だ。
このように新造車両の試験走行で賑わう宗谷線と石北線だが、ビジネス上は典型的な不採算路線だ。両線区はJR北海道が「単独では維持困難」とする8つの赤字線区に含まれる。
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