北海道のタブー「JR上下分離論」が再燃する理由

謎の新造ラッセル気動車から北の鉄路を考える

JR北海道が3日に公表した2020年4~12月の路線別収支によれば、宗谷線の営業赤字は前年同期比8400万円拡大して18億8300万円。管理費を含む営業係数(100円稼ぐのにかかる費用)は1258円にのぼる。

石北線の営業赤字はさらに大きく32億8800万円に膨らんでいる。JR北海道の全線区でも営業赤字となっており、前年同期比232億円増の597億2900万円にのぼる。

国は2020年12月、経営難のJR北海道とJR四国、JR貨物の3社を今後10年間支援することを発表。根拠法となる国鉄清算事業団債務等処理法などの改正案をまとめた。JR北海道には当初の3年間だけで1302億円にのぼる支援が行われる。

浮上した「上下分離方式」

改正案には青函トンネル改修費の負担の見直しや債務の株式化、JRに融資する金融機関への利子補給などに加え、助成金の交付対象に第三セクターが盛り込まれた。注目すべきは、道とJR北海道などが出資する第三セクター「北海道高速鉄道開発」に対して、鉄道建設・運輸施設整備支援機構が観光列車の購入資金の一部を助成できるようになることだ。

国(鉄道運輸機構)や道はそれぞれ3年間で22億円ずつ支出して前述のキハ261系のラベンダー編成5両、H100形8両を購入。JR北海道に無償で貸与する。道は「車両を三セク(北海道高速鉄道開発)が保有することで、イベントなどでわれわれの意思を反映しやすくなる」(道交通企画課)という。

つまり、道としてはあくまで赤字線区の利用促進、観光振興の一環として車両を購入・保有するというのだ。だが、3月12日の国会審議で国土交通省の上原淳鉄道局長は、この仕組みへの財源措置の必要性を問われる中で、三セクの車両の購入・保有を「いわゆる上下分離の方式」と答弁した。

「上下分離」という言葉は北海道ではタブーに近い。上下分離とは、車両やレールなどの施設を自治体が保有し、鉄道会社は列車の運行だけを担う方式を指す。当然、自治体は巨額の負担を迫られる。

JR北海道は2016年11月、同社単独では維持が困難な線区を発表した際、解決策として上下分離方式を提案。国交省も2017年に、近鉄養老鉄道・伊賀鉄道、四日市あすなろう鉄道(近鉄内部・八王子線)、JR東日本の只見線(会津川口-只見)などの事例を示し、赤字路線の上下分離案を後押しした。

しかし、道や地元の自治体は「財政状況が厳しい道内の自治体が鉄道施設を担うのは困難」などとして猛反発。翌2018年1月にはJR北海道の島田修社長が「線区を維持する有効な解決策ではあるが、これ(上下分離方式)にこだわるものではない」と述べて、事実上撤回に追い込まれた。

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