JR西の豪華列車「瑞風」、沿線に与えた波及効果 立ち寄り観光地も全国にPRできるメリット大

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東浜駅を出発する瑞風。最後部でシェフたちが手を振る(記者撮影)

昨年2月末から運行休止していたJR西日本の豪華寝台列車「TWILIGHT EXPRESS(トワイライトエクスプレス)瑞風」が4月14日に運行を再開した。春の陽気の中を走る深緑の勇姿に沿線が湧いた。

豪華寝台列車旅の魅力は、その豪華な車両だけでは完成しない。提供される料理、クルーによる接客、そして専用バスに乗って立ち寄る観光地でどれだけの付加価値を乗客に提供できるかということが、トータルでの満足度の決め手となる。

立ち寄り観光地の選定はJR西日本が最も気を遣うところだ。瑞風が走る5つのコースには広島県の宮島、岡山県の後楽園といったメジャーな観光地も含まれるが、これらはすでに訪問済みという人も多い。そのため、著名な観光地を訪れる際は、普段は見学できない場所を特別に見学できるといった付加価値を加えている。

「瑞風」立ち寄りで街の注目度アップ

一方で、知名度という点ではメジャーな観光地に一歩譲るが、数多くの魅力を持つという観光地も瑞風の旅には含まれる。

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たとえば、島根県の雲南市。ヤマタノオロチ伝説など神話の舞台になった場所でもあり、古来の製鉄法「たたら製鉄」の屋内製鉄工場など見どころは多い。もっとも、島根県には縁結びで知られる出雲大社や世界遺産の石見銀山、山陰の小京都と呼ばれる津和野といった人気観光地が多い。雲南市はこれらの影に隠れた感があった。

ところが、「瑞風の立ち寄り観光地になったことで全国的な知名度が高まり、入込客が増えた」と、雲南市観光振興課の担当者は話す。新型コロナウイルスの影響を受ける前の2019年、雲南市の観光入込客数は前年から12%増え、島根県全体も6%増えた。瑞風の旅がテレビや雑誌で取り上げられるようになり、車両だけでなく、立ち寄り観光地の魅力も紹介されるようになった結果だ。「全国ブランドの瑞風の力を借りて、雲南エリアの観光の魅力を底上げしたい」(同)。

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