JR西の豪華列車「瑞風」、沿線に与えた波及効果 立ち寄り観光地も全国にPRできるメリット大
JR西日本の長谷川一明社長は瑞風について、「当社が単に列車を走らせているのでなく、地域のみなさまと作り上げてきた。地域共生を実現するための一つの舞台である」と話す。瑞風の立ち寄り観光地となることで知名度が高まり、より多くの観光客が訪れるのであれば、まさにウィンウィンの関係だ。
昨年9月、JR西日本は新たな長距離特急「WEST EXPRESS(ウエストエクスプレス)銀河」の運行を開始した。季節によって関西―山陰間、関西―山陽間のコースがあり、今夏からは関西と和歌山方面を結ぶコースも加わる。
銀河の停車時間を利用して、駅周辺で乗客へのおもてなしが行われることもある。昨年12月には山陽コースの報道陣向け試乗会が行われたが、福山駅では特産品の販売のほか、地元のボランティアガイドが駅前にある福山城の説明を行った。地元関係者は「銀河のお客様に喜んでほしい」としたうえで、「瑞風も停車してくれればもっとうれしい」と話していた。
地域共生を目指すJR西日本としては銀河と瑞風の両方で沿線を盛り上げたいが、途中駅では停車時間を利用した観光しかできない銀河と比べれば、瑞風は専用バスを使って鉄道から遠く離れた場所まで観光に出向くことができる。地域の魅力をまるごと全国に発信するという点では、確かに瑞風のほうが観光のPR効果は高そうだ。
無人駅に「立ち寄り観光」
鳥取県北東部にある岩美町は、日本海に面した海と山と温泉の町。透明度の高い海と豊富な魚介類が魅力で鳥取砂丘からも車で30分の距離だ。人口は約1万1000人で、雑誌の住みたい田舎ランキングで1位になったこともある。そんな知る人ぞ知る田舎町が瑞風の立ち寄り観光地に選ばれた。
瑞風が停車するのは無人駅の東浜駅。山陰海岸国立公園の浦富海岸が駅前に広がる。また、駅近くには旧保育所を改修して開業したイタリアンレストラン「AL MARE(アルマーレ)」があり、イタリア語で「海辺」を意味する店名のとおり、美しい海辺を眺めながら食事が楽しめる。普段は一般客を受け入れ、瑞風の停車日には貸し切りにして乗客をもてなす。
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