JR西の豪華列車「瑞風」、沿線に与えた波及効果 立ち寄り観光地も全国にPRできるメリット大
雲南市吉田町の「菅谷たたら山内(さんない)」は日本で唯一現存するたたら製鉄場だ。山内とははたたら製鉄に従事していた人たちの職場や住んでいた地区の総称。吉田町は原料の砂鉄や燃料の木炭を供給する森林資源が豊富で、製鉄業が発達した。現在は稼働こそしていないが、かつて操業していた生産施設がそのまま残されている。
たたら製鉄は宮崎駿監督のアニメ映画『もののけ姫』で印象的に描かれている。「宮崎さんも当地の見学にお越しになったと聞いています」と、菅谷たたら山内のガイドが説明してくれた。
瑞風の旅における雲南エリアの観光は朝から夕方まで1日がかり。そのため、昼食は瑞風の車内ではなく、茅葺屋根の古民家で提供される地元の家庭料理だ。地元のお母さんたちが自ら育てた野菜や地元の食材を中心に、すべて手作り。本来はバイキング形式だが、コロナ禍の現在は1品ずつ皿に盛り付けて提供される。これがフランス料理にも負けない魅力を放つ。
古民家食堂も「瑞風立ち寄り」をPR
この古民家は、雲南市日登地区の地域自主組織「日登の郷」2009年に開店したレストラン「かやぶき」。営業は月数日程度の不定期で、団体客の予約のみ臨時で受け付ける。接客もお母さんたちが行う。
「今までは県内で知る人ぞ知るという存在でしたが、瑞風のお客さまに料理を提供すると聞いて大変驚きました」と、接客するお母さんが笑顔で話す。「県外のお客さまに地元の料理をおいしいと喜んでもらえるのがとてもうれしい」
瑞風の雲南観光では、雲南市や地元企業が出資する第3セクターの吉田ふるさと村がバスに同乗して案内を行う。同社は瑞風の雲南観光とほぼ同じ行程の旅行商品を昨年企画した。昼食も瑞風と同様、「かやぶき」で取る。「瑞風の立ち寄り観光ガイドがご案内」が売り物で、チラシには瑞風の車両の写真やロゴマークもしっかりと掲載されている。雲南市観光協会のウェブサイトにも、おすすめコースとして「瑞風立ち寄り観光地ルート」がしっかりと掲載されている。
「今後さらに多くのみなさんが当地にお越しになることを期待したい」と、吉田ふるさと村観光事業部の石原秀寿部長は話す。
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