日本人には理解できない米議事堂襲撃の裏側 なぜ米国の「銃所有」は譲れない権利なのか?

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アンダーセン:Qアノンにある『啓示』は、キリスト教的なものがあります。救い主がいて、世界の終焉に至るまでに何があるのか示しています。Qアノンの陰謀論は、一部のキリスト教信者を惹きつけるところがあるのです。

NBCのニュースで、ある男性がこう言っていました。南部ジョージア州でQアノン信奉者として初めて連邦下院に当選したマージョリー・テイラー・グリーン議員の選挙区に住む人物です。

『エバンジェリカルの信者として、他の人々が真実ではないと、ありえないとまで言っている事柄について、私は信じています。私たちは、キリストが再度復活し、私たちの元に訪れると信じています。クレージーかもしれません。でも、それと同じで、なぜグリーン議員が言うQアノンを信じてはいけないのでしょう』。

トランプが熱狂的に支持される理由

津山:それもファンタジーランドの住民の証言ですね。

アンダーセン:政治的にも全く意味をなしていません。トランプ前大統領と共和党は、大企業や富裕層向けの政策しか考えていませんでした。では、中低所得者がなぜトランプを支援するのか。それは、ここ、米国は『ファンタジーランド』だからです。実際に生活に影響がある政治よりも、米国独特の信仰とキリスト教理論が、重要なのです。

『自分が豊かになれない候補者に投票するが、それは問題ではない。私にとっては、(トランプなどの)候補者が自分にとって大切な人物なのだ。非合理なのはわかっている。しかし、彼こそが私の信念を分かち合ってくれるのだ』という心理なのです。

津山:それだけ、アメリカ宗教史は、アメリカ人のDNAに宿っているのですね。

アンダーセン:科学的なDNAというわけにはいきませんが、イエス、です。1840年代に、巨大なグループを形成する『終末信仰』があり、世界は終わり、キリストが再度復活するという信仰が人気を得ました。提唱者は、世界の終わりの日を設定しましたが、何も起きなかったので、計算し直してまた新しい日を設定しました。それがずっと続いているのです。

170年後の今も、それを信じている人たちがいる中、例えば100年後にQアノン信奉者が、トランプのような人が幼児の人身売買を終焉させると信じていないと言えますか?

「『終末』信仰を広めた2人の重要人物の1人は、ウィリアム・ミラーという男である」

「ミラーはその後、『終末』が近いと訴えるパンフレットや書籍、定期刊行物を無数に出版するとともに、野外集会でも熱心な説教を行い、100万人に近い信者を獲得した。当時の北東部の住民10人に1人の割合である」
(『ファンタジーランド』上巻113ページより抜粋)

(構成・文:津山恵子)

カート・アンダーセン 作家

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Kurt Andersen

ベストセラーとなった小説『Heyday(絶頂期)』『世紀の終わり――ニューヨーク狂想曲』(早川書房、2000年)『True Believers(狂信者)』の著者。『バニティ・フェア』誌や『ニューヨーク・タイムズ』紙に寄稿し、『タイム』誌や『ニューヨーカー』誌で文化コラムや評論を担当しているほか、ラジオおよびポッドキャスト番組『スタジオ360』(ピーボディ賞受賞)の共同制作者兼ホストを務め、テレビや映画、舞台の脚本も担当している。『スパイ』誌の共同創設者、『ニューヨーク・マガジン』誌の編集長でもある。

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津山 恵子 ジャーナリスト

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つやま けいこ / Keiko Tsuyma

東京生まれ。共同通信社経済部記者として、通信、ハイテク、メディア業界を中心に取材。2003年、ビジネスニュース特派員として、ニューヨーク勤務。 06年、ニューヨークを拠点にフリーランスに転向。08年米大統領選挙で、オバマ大統領候補を予備選挙から大統領就任まで取材し、『AERA』に執筆した。米国の経済、政治について『AERA』ほか、「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」「HEAPS」に執筆。著書に『モバイルシフト 「スマホ×ソーシャル」ビジネス新戦略』(アスキーメディアワークス)など。X(旧ツイッター)はこちら

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