日本人には理解できない米議事堂襲撃の裏側 なぜ米国の「銃所有」は譲れない権利なのか?
アンダーセン:そうです。ただ、アサルト・ウェポンを持つ人々は、まるでコスプレの一部のように、例えばデモなどに持っていくのです。ほとんどの人はそれを使って人を殺したりはしませんが、一部の人は殺傷事件を起こします。
アサルト・ウェポンを持って歩くのは、『自分はこの銃を持っている。ヘルメットも迷彩服も』とコスプレを見せる感覚なのです。本当にクレージーです。
「彼らの場合、現実世界のよそ者(中東やメキシコからやってくる)やナチ突撃隊員を撃退する準備をしているのだと思い込んでおり、彼らが持つ最先端の武器は実際に人を傷つけ殺害する」
Qアノンを信じるファンタジーランドの住民たち
津山:キリスト教信者が圧倒的に多い米国で、なぜこんなに悲惨な事件が多いのかというのも疑問です。
アンダーセン:『ファンタジーランド』のために行ったリサーチで、私も驚きました。プロテスタントのキリスト教は、この国の誕生の一部です。それなのに宗教が今日、こんなにも怒りや暴力と複雑に絡み合っているという事実、それには暴力事件だけでなく、暴力的な思想まで含まれます。キリストの生涯を考えてみてください。寛容な平和主義者であり、それが彼の教えでした。
津山:キリスト教の信者は、減少しているものの米国民の過半数と書かれていました。アメリカの信者の中で、おっしゃるようなキリストの教えの価値というのは共有されていないのでしょうか。
アンダーセン:『ファンタジーランド』でも著しましたが、アメリカのキリスト教徒はほとんどが、天国や地獄が実在すると思っています。天国の実在を信じる人は85パーセント、地獄の実在を信じる人は70パーセントという数字もあります。
共和党の集票マシーンであるエバンジェリカル(福音主義派)信仰者の間では、陰謀論的なものが信じられています。例えば、キリストは悪魔と異端者を打ちのめすために再びこの世に戻ってくるといったことです。Qアノンにもつながる陰謀論です。
トランプ前大統領は、キリストのような存在で、民主党員と支配層が虐待・暴行している幼児を救うのだというのがQアノンの説です。