現代文明はどのような「化石」を未来に残すのか? 人類が決定的に変化させてしまった地球環境
「石灰岩の舗装」から南に数キロ下ったところに、トーネス原子力発電所がある。いずれは、この施設そのものは跡形もなくなって、おそらく放射線を浴びた地面の一角だけが残ることになるだろう。それでも、ここから生みだされた廃棄物は、この発電所が開業してから30年余りで、地域一帯にその痕跡を残すことになる。
トーネスで処理されるウランの大半はオーストラリアから運ばれてくる。南オーストラリア州の地下鉱山オリンピックダムや北部特別地域(ノーザンテリトリー)のレンジャーにある露天掘りの採鉱場などである。
後者はインカの都市のように階段状の広大なクレーターになっており、そこから何千万トンもの岩石が掘りだされてきた。
有害であり続ける使用済み核燃料
現在、トーネスからの使用済み燃料は、国内すべての高レベル廃棄物の80%とともに、イギリス最大の核施設であるカンブリア州セラフィールドに運ばれている(2020年中に施設全体の廃止が完了予定)。
何千立方メートルもの廃棄物は、1950年代にこの工場が開業してから最初の40年間に蓄積したもので、いまも屋外にある巨大な貯蔵池に収蔵されている。
2014年にマスコミに漏洩した写真には、池で水浴びをするカモメが写っていた。現在は閉鎖された最も初期の研究所は、内部にどれだけの量と種類の生命に危険をおよぼす物質が含まれているのかが明らかではない。
今日、セラフィールドに送られる廃棄物の大半は再処理されているが、3%前後の残留物は依然として残っている。
恒久的な解決策を講じる代わりに、廃棄物は1200℃で液体ガラスと混ぜ合わせられる。冷却すると、この混合物はガラス質になり、放射線を発する固体のガラスの塊となる。セラフィールドには、巨大な有毒の棒飴のようなガラス固化体が収められたステンレス製容器が6000本は貯蔵されている。
内部にある有害物質には、数千年間は致死効果が残るだろう。私たちのことなど噂に聞く程度となる人びとにとっても、まだ有害なのだ。
この海岸にあるもっとありふれた物質も、同じほど驚異的に時を超えて残りつづける。私たちは全員がこの旅行に弁当を持参しており、サンドイッチを包むためには多くのアルミホイルや食品用ラップフィルムが使われていた。自分たちのごみは念入りにすべて回収して、いちばん近くのごみ箱に捨てられるまでもち歩いた。
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