現代文明はどのような「化石」を未来に残すのか?

人類が決定的に変化させてしまった地球環境

この時代を地質学的に表すものは何なのだろうか(写真:inkret/iStock)
5000万キロにわたって延びる道路、放射能で2万年後まで住めない土地、10万年後も残り続ける二酸化炭素、膨大なプラスチックごみ……。私たちの現代文明は、地球環境を大きく変えてしまった。そのため、一部の地質学者たちは「人新世」という地質時代を提唱してさえいる。
では、私たちの遙か未来の子孫たちは、人新世が残したどのような「化石」を発掘することになるのだろうか? 今回、5月に日本語版が刊行される『FOOTPRINTS(フットプリント) 未来から見た私たちの痕跡』から、一部を抜粋・編集してお届けする。

太古の地球が残した化石と人類が残す化石

3月のある土曜日の朝、列車に乗って、エディンバラから50キロほど東のロージアン州の海岸沿いにあるダンバーに向かった。

『FOOTPRINTS(フットプリント) 未来から見た私たちの痕跡』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ダンバー駅からバーンズネス灯台までの岩だらけの海岸沿いの低い道は、往復で12キロ程度しかない。小道は、芝の手入れが行き届いた町のゴルフ場の周囲を迂回する形で始まり、散策する人の目印となる細く延びた芝の道をたどる。

刈り込まれた芝は、緑地が突如として小石だらけの海岸に変わる場所に無造作に積み上げられた漂流物とは好対照をなしている。だが、ゴルフ場の最終ホールが伸び放題の草地へと変わるにつれて、はるかに複雑な光景が現れ始める。

実際には、そこはどちらかと言えば実用本位の場所で、A1(ロンドンからエディンバラまでを結ぶ高速道路)の灰色の障壁があるために海岸沿いの細長い一帯にとどめられている。遠くに聞こえるかすかな交通騒音が波のため息と入り混じる。

ゴルフ場から離れた海岸の突先では、広大な露天掘りの炭鉱から燃料を得ている現役のセメント工場が、廃墟となった19世紀の石灰窯の並びを見下ろす。石炭と石灰岩の層が掘り返され焼かれて、地元の農家のために石灰を提供していた。

窯跡は危険すぎてなかには入れないため金網で囲まれ、警告標識が数珠つなぎになっている。この景観全体が「石灰岩舗装」(人工的な舗装道路のように石灰岩が覆う地形の呼称)の上にあり、それこそが150年前に窯で焼かれていた材料の入手先だった。

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