現代文明はどのような「化石」を未来に残すのか? 人類が決定的に変化させてしまった地球環境

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エディンバラの家庭ごみの大半は、実際にはこの海岸からさほど離れていない埋立地に最終的に行き着き、そこで粘土とプラスチックで覆われる。現代の埋立地はたいがいこの方法で建設され、有害物質が地下水に染みだすのを防ぐために、中身のごみに気密・防水シーリングを施して、事実上ミイラ化させる。

1970年代にウィリアム・ラティという考古学者が埋め立てたごみの内部で何が起こるのかに興味をいだいた。それから20年にわたって、彼はアリゾナ州トゥーソン周辺のごみの埋立地を発掘し、40年前のホットドッグや25年前のレタスがまだ店頭に並んでいたような状態で見つかったと報告した。

1980年代なかばには、1967年の新聞とともに埋まっていたにもかかわらず、まだ充分に食べられそうに見えるグアカモーレ(アボカドのディップ)が見つかった。

大量のアルミやプラスチック

20世紀なかばの埋め立てごみのなかで食品が何十年間も保存されうるのであれば、現代の埋立地に埋められているプラスチックやアルミニウムなどの、より耐久性のある物質ならば間違いなく、もっとずっと長期にわたって見分けのつく状態を保つだろう。

20世紀なかば以降、私たちはアメリカ合衆国全土をアルミホイルで覆えるほどの、5億トンのアルミニウムを生産してきた。毎年、海に流れだす何百トンものプラスチックの大半は、海底に落ちてゆく。

プラスチックはそこで地層のなかの1つの層として堆積物に取り込まれてゆき、そこに事実上、恒久的に追加される。少なくとも、熱と圧力によって再びそれが石油に戻るまで、あるいは海底の一角が隆起して侵食されるまではそれがつづく。これは何千万年という歳月を要するプロセスだ。私たちのサンドイッチの容器のようなものですら、物語を伝えることができるのだ。

毎年、人間の消費用に600億羽のニワトリが殺されている。将来、化石化されたニワトリの骨がどの大陸でも、人間の食欲が貫入した証拠として地質記録に現われるだろう。こうした最も日常的な見慣れたものは、いずれも新たな化石となる潜在力があり、人新世を身近なものにする。

エディンバラに戻る列車に乗るためにこの海岸に背を向けても、そこは私たちの記憶をとどめることになるだろう。

(翻訳:東郷えりか)

デイビッド・ファリアー エディンバラ大学教授

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David Farrier

イギリス・エディンバラ大学の英文学と環境学の教授。『FOOTPRINTS(フットプリント) 未来から見た私たちの痕跡』で英国王立文学協会のジャイルズ・セントオービン賞を受賞。デジタル・マガジンの「イーオン」や、『アトランティック』誌に寄稿している。これまでにUnsettled Narratives(Routledge, 2006)、Postcolonial Asylum(Liverpool University Press, 2011)、Anthropocene Poetics(University of Minnesota Press, 2019)も上梓している。

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