Netflixで水原希子「体当たり演技」話題のワケ ゲス極ドラマーさとうほなみと恋人役の「彼女」

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しかも、2人の関係性を丁寧に描くべき重要なポイントは高校時代の回想シーンが中心です。オーディションで選ばれた高校時代のレイを演じた南沙良と、高校時代の七恵を演じた植村友結の役作りのよさが救いとなっていますが、水原希子とさとうほなみの感情表現豊かな演技に感情移入させるタイミングを遅らせています。レイは裕福な家庭に生まれ、不自由なく暮らしているように見えるけれど、なぜレズビアンであることに苦しめられているのかといった背景の描き方が浅いようにみえます。また七恵が人生に希望を見いだせないものの死ぬこともできない理由にも踏み込むことで深みが増したのかもしれません。

実力派女優に頼り、レイの恋人役の真木よう子やレイの義姉役の鈴木杏のせりふに作品の本質を語らせてしまうところも物足りなさを助長させています。ドライブしながらレイと七恵の2人がYUIの「CHE.R.RY」を口ずさむ重要なシーンで、その歌詞に2人の気持ちを代弁させていることからも、全体的にせりふよりも「雰囲気」に重きを置いたと解釈せざるをえません。

東京からうみほたるを経由して千葉、葉山、そして軽井沢など設定されたロケ地はさまざま。日本の風景を美しく映し出した映像も印象に残る(写真:Netflix)

2人の当てのない逃避行で映し出される東京湾アクアラインや葉山の海辺、軽井沢の森の景色の美しさと広大さに呼応するような魅力的な主人公だけに、筋書きに細やかさが加わればさらに満足度の高いものになったはずです。それゆえに議論を熱くしています。

海外の好意的なレビューは期待値の表れ

一方、4月15日の配信開始からNetflix日本の「今日の総合TOP10」にランクインは果たしています。日本オリジナルの最新作としての注目度が第1の理由にあるでしょう。アメリカの辛口批評サイトで知られる「Rotten Tomatoes」での評価はまずまずの結果を残しています。満足度を表した「トマト」指数は75%です。

アメリカ最大手新聞のNew York Timesは辛口評価であるものの、アメリカ最大手のエンターテインメント誌Varietyをはじめ好意的なレビューで紹介している媒体が多数です。そもそも配信直後にレビュー記事が取り上げられていることに期待値の大きさが伝わってきます。Netflix日本オリジナル作品にプロの海外批評家たちが毎回筆を執るわけではないからです。

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