親の「あるべき論」を持たない主人公を描いた
仕事と子育ての“現実”を見せるドラマはそれほど多くはありません。もしあったとしても、社会問題として切り込んだ重めのテーマになってしまうか、雲の上のような存在の主人公がいとも簡単に解決してしまうものか。そんな両極端な作品しかないだろうと、期待をせずに見始めた人ほどハマるドラマがAmazonプライム・ビデオで配信中の『ホットママ』です。子育て世代の本音を知ることができます。一方で、なぜこれまで現代の親の生き方を描くドラマがあるようでなかったのかと疑問に思います。
ドラマ『ホットママ』の主人公は仕事も恋も子育てもオシャレも合理的に両立させる女性です。一見すると、キラキラとした非現実的なキャラクター像ではありますが、親になることに対して“あるべき論”を持たない姿に爽快さを覚える役柄です。「妊娠したら、母親としての自覚を持つべき」「子どもが3歳になるまで母親は家にいたほうがいい」といった固定観念にとらわれた世間の言葉に縛られず、自分の答えを探っていくのです。
この「夏希」役を演じたのが元乃木坂46の女優・西野七瀬。思いもよらなかった妊娠から母親になることを覚悟し、パートナーと信頼関係を築きながらわが道を突き進むという、目まぐるしく変わる成長の過程を見事に演じきっています。そして、パートナー役の「元哉」は俳優・千葉雄大。重要な役どころを好演しています。
若い女性にターゲットを絞ったAmazonプライム・ビデオのオリジナルドラマから「久しぶりに力作が配信されている」というのが筆者の正直な感想です。情報誌『東京カレンダー』の人気連載コラムを水川あさみ主演で実写ドラマ化したヒット作『東京女子図鑑』を彷彿とさせ、赤裸々に現代の女性像を描いた作品であることがそう感じた理由にあります。
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