プロ野球チームの「社員」が経験した経営の激変 ライオンズ選手から「転職」の髙木大成がつづる
この頃からセ・パ交流戦が誕生し、プレーオフ制度(クライマックスシリーズ)が定着しました。時を同じくするように、多くのテレビ局がプロ野球の地上波中継を見直し、球団も放映権だけに頼らないビジネスモデルを追求するようになり、問題意識はセもパも共通のものへと変わっていきました。
プロ野球は産業としての「構造改革」を必要としていたのです。
「球団単体」での収益最大化へ発想を転換
私が引退した2005年からの15年間で、プロ野球界の最大の変化といえば、パ・リーグの観客動員数ではないでしょうか。
ちょうど入場者数を実数で発表するようになったのが2005年です。その年、パ6球団の入場者数合計は約825万人。それが2019年には約1167万人にまで増加しました。これは41%増に相当します。西武ライオンズも110万人から182万人へと65%以上アップしました。
クライマックスシリーズやセ・パ交流戦といった施策が観客動員に影響しているのも事実ですが、それ以上に大きかったのは、危機感を各球団が共有し、球団の経営方針を変えたことにあったと思います。
それは、グループ会社の支援に頼ることなく、球団単体の事業として利益を出せるようにする15年間であり、なんとか収益を最大化しようと企業努力を重ねた15年間でもありました。
ライオンズの場合も、その変化は本当に顕著でした。たとえば年間指定席です。年間指定席(シーズンシートとか年席とも呼ばれます)は、熱心なファンが購入することももちろんありますが、法人や個人事業主が接待や福利厚生のために購入するケースが多い座席です。当初ライオンズは、年席の販売を西武グループの別の企業に委託していました。
その時代の法人営業といえば、「お願い営業」「おたがい様営業」が中心だったと思います。西武グループの各企業と関係の深い企業に「おつきあい」していただく営業スタイルです。正直なところ、こうした営業スタイルは、販売担当者にとってはモチベーションは決して高くはなかったと思います。
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