楽天グループの社債保証コスト(CDS)が急上昇 投機的級数への格下げ懸念払しょくできず

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楽天グループの社債保証コスト(CDS)が先週、格下げ懸念から1年ぶりの高水準に急上昇した。週末は永久劣後債による資金調達を受けて上昇に歯止めがかかったものの、今週も気配値は高い水準にとどまっている。

CMAによると、5年物CDSは15日に78.71ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と2020年4月以来の高水準になった。S&Pグローバル・レーティングが9日、長期格付け「BBB-」を引き下げ方向とする「クレジット・ウオッチ」(CW)を継続すると発表し、投機的等級への格下げが意識されて急上昇した。16日は75.12bpに小幅低下し、週間の上げ幅は27.45bpと20年3月以来の大きさ。

トレーダーによると週明け19日は昼すぎの時点で取引が成立しておらず、気配値は16日終値とほぼ同水準。楽天Gは欧米時間15日に外貨建ての永久劣後債を起債し、これが上昇に歯止めをかけたと市場では受け止められている。

発行額は約3200億円。国際会計基準(IFRS)を採用する楽天Gではこの分だけ自己資本が増えることになる。大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは「クレジット評価上、シニア債の観点から見れば弁済・償還が劣後する資本性債券での資金調達はプラスと受け止められる」と指摘した。

もっとも格下げリスクが消えたわけではない。S&Pは、楽天Gの非金融事業の営業キャッシュフローから設備投資を引いたフリーオペレーティングキャッシュフローの赤字額が今後2年程度の間に1兆円近くに達すると試算しており、永久劣後債を発行してもこれを補うには至らないとの見方だ。CW解除のめどは7月上旬としている。

著者:間一生、森田理恵

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