西武園、「エモい昭和レトロ」に走る驚きの変貌 メインエリアは商店街風、ゴジラの乗り物も

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家族向けのエリア「レッツゴー!レオランド」では、手塚治虫氏の「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」などのキャラクターが登場。ここではジェットコースターや回転型のアトラクションなど、4つのライドアトラクションを備えた。そのほか、メリーゴーラウンドや大観覧車、回転空中ブランコなど、リニューアル前からあった乗り物も音響やスタッフによる演出で、以前と違う体験ができるように仕上げたという。

園内のイメージ図は昭和感を前面に打ち出している(画像 TM & © TOHO CO., LTD. ©TEZUKA PRODUCTIONS)

一連のリニューアルは、個々のアトラクションを軸とする従来型の遊園地から、園内、もしくはエリア全体を演出するテーマパーク化の試みと言える。商店街を中心に、登場するキャラクターやアトラクションもレトロをテーマに演出する。また、3カ所あった入り口は「西武園ゆうえんち駅」そばの1カ所に集約した。「1つにしたのは、昭和の商店街をくぐって来ていただくことを体験として意図したもの」(高橋氏)。

入園者数はピークの5分の1に

西武園ゆうえんちの開業は1950年。リニューアル前は窮地に追い込まれていた。入園者数のピークは1988年度の194万人。それからは下降トレンドが続き、2018年度は約49万人に縮小。2019年度はコロナ影響もあり、約37.8万人に落ち込んだ。施設の老朽化やレジャーの多様化などが原因で、全国の遊園地に共通する課題だった。

再起に向け、リニューアルで手を組んだのは株式会社「刀(かたな)」。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンをV字回復に導いた森岡毅氏が設立したマーケティング会社だ。同社のエグゼクティブ・ディレクター・近藤正之氏は「西武園ゆうえんちは語るべき特徴がなく、どういう体験ができるか思い浮かべることもできない。消費者の選択肢に入っていなかった」と振り返る。

リニューアルでブランドを再構築するうえでは、マイナスイメージを逆手にとり「古いことはいいこと」とアピールできないか考えてきたという。並行して消費者インタビューや定量調査も進めると「今の人々は昭和の時代にあったような、人とのつながりや人情味などの温かさに飢えているのではないか」という仮説が導き出された。

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