菅首相、初の日米首脳会談に懸ける政権の命運 「ジョー・ヨシ」会談で五輪開催への協力要請も
菅首相が13日に決断した福島第一原発の処理水放出も、政権を揺さぶる可能性がある。国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は「(日本の決定は)国際的慣行に従っている」と声明を出し、アメリカも「世界的に認められた原子力の安全基準に合致した方法を採用した」(国務省報道官)と評価した。
一方、中国は「極めて無責任」と批判し、韓国も「絶対受け入れられない措置だ」と猛反発し、文在寅大統領が14日に国際海洋法裁判所への提訴検討を指示した。台湾も「日本側に何度も懸念を表明してきた。今後も動向を注視していく」と牽制するなど、アジア近隣各国の反応は厳しい。
内閣支持率は「分水嶺」に
国内でも、これまで海洋放出に強く反対してきた福島県漁連が「決定に驚愕している」と直ちに反対声明を出し、立憲民主党の福山哲郎幹事長も「国民に十分な説明が行われていない。放出ありきで進んだとしか言いようがない」と批判した。
政府与党内には「時間切れが迫る中での菅首相の英断」と評価する声が多いが、メディアの多くは「福島県民の理解を得ないままの見切り発車」などと批判的だ。
最近の世論調査では内閣支持率は横ばいで推移している。「支持と不支持が拮抗し、次にどちらに動くかの分水嶺に差しかかっている」(世論調査アナリスト)のが実態だ。内閣支持率はこれまで、コロナの感染状況と連動してきており、「もし、第4波の感染爆発となれば、再び支持率下落に陥る」(同)との見方が多い。
政府が今週後半に愛知県などへのまん延防止適用を決める場合には、菅首相が不在のもとでの決定を余儀なくされる。「国民は私に決断を求めている」と強調してきた菅首相の指導力が問われる事態ともなりかねない。
今回の3泊4日の菅首相の訪米は「政権浮揚どころか、薄氷を踏むような厳しい環境での首脳外交」(閣僚経験者)となることは間違いなさそうだ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら