映画「ミナリ」地味なのに全米で大ウケの真因 韓国人一家の物語がアメリカ人の心を打つワケ

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アメリカに移住した韓国人一家の物語「ミナリ」は、アカデミー賞6部門にノミネートされている(写真:Everett Collection/アフロ)
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「移民がキーワードだ」。監督賞や作品賞など、アカデミー賞6部門にノミネートされている話題の映画「ミナリ(韓国語でセリの意味)」を見終わった途端、そう思った。「ミナリ」が多くのアメリカ人に響いた理由だ。

アメリカ人は厳密にいうと、先住民以外は、100%移民か、移民の末裔と言っていい。主人公の一家は、韓国からの移民だが、描かれたドラマは、メキシコ人、フランス人、黒人、どんなアメリカ人にも当てはまる。誰もが、血がにじむような苦労を重ねて、アメリカに根を下ろそうとし、その葛藤は今日4480万人いる移民の中で続いている。「ミナリ」は今日にも通じる移民の「根性物語」を描き切った。

夢を信じて移住した韓国人一家

時は1980年代。冒頭は、電柱も立っていない広大な野原の一本道。韓国移民のジェイコブは、荒野のど真ん中で野菜畑を開拓する夢のために、妻モニカとアン、デビッドの2児を連れて、カリフォルニア州の大都会から南部アーカンソー州の農業地帯に引っ越してきた。

物語は7歳の息子デビットの目を通して語られる(写真:Everett Collection/アフロ)

物語は主に、7歳のデビッドの目を通して語られる。ジェイコブは、畑のために井戸を掘り、なけなしの貯蓄で農機具を借り、使用人を雇う。同時に夫婦は、ヒヨコのオス・メスの鑑別をして日銭を稼ぐ。

開拓一家には、悲劇が次々に襲いかかる。井戸が枯れ、農園のために水道代がかさんでいく。韓国から移住してきたモニカの母スーンジャは、料理もできず、文字も読めず、子どもに花札を教えるだけ。ジェイコブは、農園とヒヨコ鑑別という二重の労働で疲労困憊だ。そんな中、スーンジャが倒れる――。

物語は葛藤と悲劇が続く。ところが、ハリウッド映画のような大音響もドラマチックな音楽もない。淡々とした映像描写を見ているうちに、無数の移民がたどってきた「現実」に深く引き込まれていく。一家を絶望に突き落とす事件の後、最後のシーンは多くの観客の胸を打つ。

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