増強相次ぐ「有料着席列車」は救世主になるか 通勤利用低迷の中、一般列車減らし増発の例も

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既存の着席列車を増強するのが京急電鉄だ。京急は平日朝に上り3本を運行している座席指定列車「モーニング・ウィング号」について、今年5月6日以降、7時28分に品川駅に到着する「モーニング・ウィング3号」を現在の8両編成から12両編成に増強すると発表した。

現在、モーニング・ウィング3号は8両編成で三浦海岸から品川まで運行しているが、5月6日からは三浦海岸―金沢文庫間を4両編成で運転し、金沢文庫駅で8両編成を増結して12両編成となり、品川まで運行する。座席数は539席から667席へ約24%増加する。

増結される4両は新製した1000系増備車で、ロングシートからクロスシートに切り替え可能な座席転換型車両だ。さらに2号車、3号車に京急の車両としては初めてトイレを設置し、ビール列車などイベント列車としての運行にも対応している。

京成電鉄も特急スカイライナー用のAE形車両を用いて昨年10月1日から印旛日本医大―京成上野間で運行している「臨時ライナー」をダイヤ改正後も当面の間、継続すると発表している。

京成「スカイライナー」のAE形車両。臨時ライナーにも使われている(撮影:梅谷秀司)

この列車は京成上野に送り込まれるスカイライナーの回送列車のダイヤを活用して設定されたもので、京成は北総線の利便性向上が設定の目的と説明する。ただ京成は新型コロナの影響で航空需要が激減する中、昨年5月からスカイライナーを一部運休するなど、旅客運輸収入の3分の1を占める成田空港輸送が大幅に落ち込んでいる。臨時ライナー設定の裏側に、新型コロナ以降の減収を少しでもカバーしたいという思惑があるのは間違いないだろう。

客単価をどう上げるか

縮小一辺倒のダイヤ改正において、着席列車が増強されるのは2つの理由がある。ひとつは利用者の「通勤電車の『密』を避けたいという需要」に応え、選ばれる路線になるため。もうひとつは旅客需要が大幅に落ち込む中、少しでも運輸収入の足しにしたいという増収策としての一面だ。

新型コロナを契機とするテレワークの普及に伴い、コロナ収束後も定期利用者の減少は避けられない中で、旅客運輸収入を最大化するためには単価を上げるしか道はない。最も手っ取り早いのは「着席」に追加料金を支払ってもらうことである。出社回数が減る分、1回の通勤に多少のお金をかけてもいいという利用者は増えるだろう。

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