増強相次ぐ「有料着席列車」は救世主になるか 通勤利用低迷の中、一般列車減らし増発の例も

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ただ、鳴り物入りで開始されたプレミアムカーだが、まだ十分に定着しているとは言いがたいのが実情だ。2018年度決算におけるプレミアムカーと全車指定席の通勤ライナーによる増収額は2億3600万円で、すべてがプレミアムカーの利用だと仮定した場合でも、1本あたりの平均で約6000円。淀屋橋(大阪)―出町柳(京都)間の利用料金500円で割ると、1列車あたり定員40人のところ12人程度の利用に過ぎない。

京阪はプレミアムカー導入に合計43億円を投じており、10年程度で券売機の更新、20年程度で車両のリニューアルを要することを勘案すると、年間5億円程度の売り上げは欲しいところだ。コロナ禍により鉄道利用者の減少やインバウンド需要の蒸発など事業環境は激変し、プレミアムカーの利用状況はさらに苦しいものとなっていると思われるが、着席ニーズの高まりを追い風にできるか注目される。

関西では阪急電鉄も有料座席指定列車サービスの導入を検討していると報じられている。各種報道によると導入を検討しているのは京阪と並行する京都線で、「コロナ禍で通勤電車の『密』を避けたいという需要」の高まりを背景に、「専用の電車を設けるか、一部の車両を有料の指定席にすることを検討」しているという。関東に比べて有料着席列車の少なかった関西にもブームが訪れようとしている。

準急減らして「TJライナー」増発

2017年3月に西武鉄道と東京メトロが「S-TRAIN」、2018年3月に京王電鉄が「京王ライナー」、2020年6月に東武鉄道と東京メトロが「THライナー」を導入するなど近年、新たな着席列車が続々登場している関東でも同様の動きがみられる。

東武東上線の「TJライナー」。2021年春ダイヤ改正で朝ラッシュ時に2本増発した(写真:ゴスペル/PIXTA)

東武鉄道は3月13日のダイヤ改正で朝ラッシュ通勤時間帯の上り「TJライナー」を2本増発した。それまでは朝ラッシュ時間帯の前後、池袋駅7時5分着と9時11分着の列車を運行していたが、同7時26分着と8時49分着の列車を増発した。

増発に当たってはコロナ禍以降、利用が減少した準急列車2本を減便し、これを置き換える形で設定した。東武鉄道によると、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、通勤時間帯の混雑を避け、安心してゆったりと通勤したいというニーズの増加に応えるためTJライナーの増発に踏み切ったという。

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