普通な見た目のキャンピングカーが人気の理由 車中泊に特化したモデルが好調、差別化が課題

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NV350キャラバンの内装。アレンジを変えればリビングにもなる(筆者撮影)

見た目が普通のキャンピングカーは、比較的リーズナブルに購入できる点も魅力だ。例えば、日産自動車のNV350キャラバン マルチベッドは、価格(税込)が340万3400円~432万3000円。専門メーカーであるダイレクトカーズが製作した前述のアウトギアでも、展示車両の場合で価格(税込)449万1400円だ。対して、同クラスのバンコンで常設ベッドやリビング、キッチンといった豪華装備が付くと、なかには700万円や800万円以上するモデルもある。とにかく「寝るだけでいい」と割り切れば、車中泊仕様は断然安く購入できるのだ。

ほかにも例えば、8ナンバー車は、特殊用途自動車に分類されるため、任意保険を取り扱う会社が少なく加入しづらい。また、保険料が割高なケースが多いなど、保険の面では課題も多い。その点、3ナンバーや4ナンバーのままで乗ることができる車中泊仕様であれば、任意保険で困ることはほとんどない。

以上のような要素も、アウトドアブームで新規参入した「キャンピングカー初心者」にとってはハードルが低く、購入しやすい理由なのだろう。最近では、ミニバンやワンボックスカーだけでなく、軽自動車をベースとしたいわゆる「軽キャンピングカー」でも、見た目が「普通」のモデルが増えるなど、当ジャンルへ参入するメーカーは多い。

岡モータースが出展していた軽自動車のキャンピングカー仕様(筆者撮影)

今後の車中泊仕様は差別化が課題

日産ピーズフィールドクラフトが製作した「セレナP-SV」(筆者撮影)

ただし、複数の業者が他社モデルとの「差別化」に課題を抱えているようだ。外装がほぼノーマルのため、独自性が出しにくいのだ。そのため、例えば、日産ピーズフィールドクラフトが製作した「セレナP-SV」のように、ルーフが上がり就寝スペースを増やすポップアップルーフを採用するモデルも増えている。

セレナをベースにしたこのモデルは、3列シート仕様のままで、車内に大人2名が橫になれるベッドを装備(オプション)。加えて、停車時に上げることができるルーフを設け、その空間もベッドスペースにすることで合計4名の就寝が可能となる。日産自動車のマルチベッドよりも、より大人数での旅を楽しめるのだ。しかも、全長や全幅はベースグレード「ハイウェイスターV(2WDガソリン車)」のノーマルとまったく同じ。ルーフを閉じた際の全高のみ1980mmと純正より115mm高いが、その程度の車高であれば普段使いでも十分に使える。なお、税込価格は展示車の仕様で524万4800円だ。

キャンピングカー業界は、元々の市場はさほど大きくなかったものの、前述のとおり、2019年に販売総額が500億円を突破した。2017年の424億6975万円に対し、2年で100億円以上の増加だ。こうした躍進の背景には、アウトドアブームに加え、今回紹介したような車中泊に特化したモデルの売れ行きが好調であることも要因だろう。差別化などの課題もあるが、逆にそういった競争が、さらなる品質の向上に繫がることに期待したい。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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