家事、介護…暮らしの中の外国人労働者 もう、彼らなしでは成り立たない!
制度上「労働」を目的に来日する唯一の外国人は技能実習生だ。最長3年で中国や東南アジアの15万人が日本で働く。
「実習生は人柄重視」
兵庫県川西市の大智鍛造所では、7年前からこの制度で中国人8人を雇い続ける。社長の大智靖志さんには忘れられない思い出がある。最初に迎えた中国人に健康診断でガンが見つかり、日本で手術を受けた。
「みんなで手分けして看病をして職場が一つになりました。実習生はとにかく人柄重視。協調性が大事です」(大智さん)
ただ、給与や長時間労働をめぐり、実習生と企業との間でトラブルが多いのも現実だ。
企業にとって実習生を抱える最大の動機はやはりコスト。不況で経営が苦しい企業ほど、残業代を渋り、給与から実費以上の家賃や食費などが引かれる。手取りが5万円以下で「時給数百円」になる悪質なケースも数多く報告されており、各地で訴訟や苦情が相次ぐ。
一方、中国でも都市部で賃金が毎年10%近くも上昇し、日本との給与格差は縮まる一方。日本での実習のメリットは少ないとの評判が広がり、人材を探すのが年々困難になっている。
そんななかで急激に増えているのがベトナム人だ。大阪市西淀川区の「新免鉄工所」は今年4月、ブイ・ヴァン・リンさん(23)とレイ・チャー・バオ・ユイさん(26)を受け入れた。新工場に本社から人を出し、その穴を埋めてもらう。
同社にとっては初の外国人。社長の新免謙一さんは自らベトナムに足を運び、面接で選んだ2人の住居も探した。週末には神戸の中華街・南京町のベトナム料理店に連れていき、社の屋上では2人が好きな香味野菜を栽培するほどの気の使いようだ。
「礼儀正しいし、声も大きく、はきはきしていて、うちの若手にはないものを持っており、教わることも多い。(制限の)3年といわずもっといてほしい」
2人も「日本の5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)など学ぶことばかり。最低でも5年はいたい」と口をそろえる。
試験に落ちると帰国
自民党は政府に対し、5年への延長を提言している。一方、実習制度自体には、職場の変更や柔軟な帰国ができないことから、国内外から「現代の奴隷制度」といった批判も絶えない。
「メラちゃ~ん、こっちに来てよ」「メラちゃん、元気?」
千葉県袖ケ浦市の老健施設「カトレアンホーム」で働くインドネシア人のメラ・ジュリアさん(26)は入所者の人気者だ。