「GR86/BRZ」満を持して発表された進化の中身 2.4Lへの拡大は正常進化かコンセプトのズレか

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所有や購入のハードルの低いリーズナブルで楽しいスポーツカーを開発することで、いわゆる“クルマ離れ”が加速する若者たちの興味を呼び戻すもくろみがあったはずなのだ。

排気量アップは「絶対的な速さ」の追求であるともいえるし、また毎年課税される自動車税も1クラスあがる。具体的には3万6000円から4万3500円へと、年間7500円アップになるのだ。7500円とはいえ、頑張ってスポーツカーを維持したいと考える若者にとって心理的なハードルはあがる。

また、車両価格の上昇も避けられないだろう。GRブランドで販売されるGR ヤリスやGR スープラは総じて高価格だ。86が新たにGRを名乗るとなれば、価格も相応にアップすると考えられる。

速さを追求し、走りを満足いくまで高性能を楽しみ尽くせるスポーツカーはたしかにいいものだが、走りと価格のバランスが取れたコストパフォーマンスに優れたスポーツカーであってほしいものだ。

ボディサイズは拡大ほぼなし

2.4リッターになった水平対向4気筒エンジンのスペックは、最高出力173kW(235PS)/7000rpm、最大トルクは250Nm(25.5kgfm)/3700rpm。現行モデルの152kW(207PS)/7000rpm、212Nm(21.6kgfm)/6400~6800 rpmより大幅に向上。トランスミッションに変更はなく、6速MTまたは6速ATが選択可能となっている。

ATモデルに搭載される「スポーツモード」は進化し、クルマがスポーツ走行中と判断した際には、ドライバーの意思や操作に応じて最適なシフト操作が自動的に行われるため、よりダイレクト感のあるコーナリングが可能になったという。

ボディサイズは全長4265mm×全幅1775mm×全高1310mm。現行モデルの全長4240mm×全幅1775mm×全高1320mmと比較すると全長が少し長くなってはいるものの、大きな変更はない。

「86」の従来モデル(写真:トヨタ自動車)

従来型のサイズ感をほぼそのままに、全高とヒップポイントを低く抑えることで、低重心化と回頭性の向上を図った形だ。

さらに、「インプレッサ」や「レヴォーグ」などで展開される「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」の開発から得たノウハウが取り入れられ、インナーフレーム構造や構造用接着剤などが採用された。

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