「GR86/BRZ」満を持して発表された進化の中身 2.4Lへの拡大は正常進化かコンセプトのズレか

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これはデザイン上のアクセントとしているだけでなく、空力性能を考慮したものだ。リアを見てみると、トランクフードに設置されていたナンバープレートがバンパー内に移されたことが新しい。

リアまわりのデザインは両車で共通(写真:トヨタ自動車)

今回のワールドプレミアではGR 86がレッド、BRZがブルーのボディカラーで登場した。それぞれのボディカラーは従来モデルでもイメージカラーとされていたものだ。第2世代となっても同様のカラーをメインに据えるのだろう。特に新たにGRの名を冠した86は、GRのイメージカラーになったという見方もできる。

内装は両車ほぼ共通で、ブラック基調の室内に散りばめられたレッドの挿し色が、スポーティーさを演出。広い視界を確保するため、インストルメントパネルはシンプルな水平基調に、メーターバイザーはより低く設置された。

レイアウトは変わらないものの形状は一新された(写真:SUBARU)

また、メーターはフルデジタル化。7インチTFT液晶パネルとセグメント液晶パネルを組み合わせたものに進化している。とはいえ、エアコンやドライブモードなど、スイッチ類のレイアウトは大きく変えておらず、従来モデルから乗り換えても違和感はなさそうだ。

正式発売はBRZが夏、GR 86が秋

実は筆者は現行86を所有しているのだが、今回ワールドプレミアを果たした新型GR 86/BRZの発表内容を見る限り、初代のコンセプトからのズレを感じてしまうのが正直なところ。

ハードルの低いスポーツカーから走りを追求したピュアスポーツへの進化に、戸惑いを覚えてしまうのだ。もちろん、走行性能の向上は多いに歓迎である。しかし、コストパフォーマンスのよさが失われてしまうのだとしたら残念に思う。こうした少しの変化が、ユーザーからの見え方をよくも悪くも変えてしまうのである。

正式な発売はGR 86が2021年秋ごろ、BRZが2021年夏頃の予定となっている。価格の発表もそこまでお預けだろう。コストパフォーマンスのよさがどれだけ受け継がれるのか。そこは両メーカーの心意気に期待するとしよう。

先川 知香 モータージャーナリスト

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さきかわ ちか / Chika Sakikawa

初めて見たバイクレースでマシンをバンクさせながら膝を擦って進入していくコーナリングを自分もやってみたいと思ったのをきっかけに、マシンを操ることの面白さを知り、その面白さを多くの人に伝えるべくモータージャーナリストを志す。現在の対象は2輪から4輪までと幅広く、Web や紙媒体で執筆中。愛車は Kawasaki Z250 とGASGAS、TOYOTA86 MT 仕様。休日は愛車でのサーキット走行やトライアルにも挑戦中で、公私共に乗り物漬けの日々を送る。

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