いじめのピークは「小2」低年齢化の衝撃の実態 10年前は中1だったのがなぜ変化したのか

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またコロナ禍でいじめが増えることも懸念されています。NPO法人「共育の杜」の調査によれば、コロナ禍の影響によって9割の教職員が「今後いじめが増える可能性が高い」と回答していました(※2)。

コロナ禍の今だからこそ

(出所)各種データより筆者作成

そもそも4月は大人の注意が必要な時期です。進学・進級により人間関係が刷新され、「問題がない」と見られていた子もいじめの標的になってしまうことがあります。

この時期に大人にお願いしたいことは、たったひとつです。今回の記事の前半で紹介した小学校5年生の男児は「子どもがやったからといって軽く扱わないでほしい」と話してくれました。

いじめが起きていても「子どもどうしで起きたことだからしかたがない」や「悪ふざけだから大げさにしなくてよい」と判断をするのはいじめを受けた本人であり、先生や親ではありません。苦しんだ人の年齢が幼少であっても「SOSを邪険にしないこと」は最も大切なことです。

もしもSOSを受けた場合、いじめを受けているとわかった場合は2つの対応をお願いします。

ひとつめは子ども本人が言った話を記録すること。学校や相談機関と話し合いの資料になるからです。

もうひとつは、子どもの安全を確保すること。いじめがある場合は躊躇せずに学校を休ませてください。学校を休めば「社会性や学力が身につかない」と不安視される方もいますが、いじめを受け続けて身につくのは学力や社会性ではありません。憎しみや自己否定感です。親に訴えても救ってくれなかったという不信感です。

私はたくさんのいじめ経験者に取材してきましたが、避難が早かった人ほど、心の回復は早い傾向がありました。子どもが苦しいときほど、安心・安全が最優先という原則をぜひ実行してもらいたいと思っています。

※1・令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2020年10月22日発表)。また、いじめ件数の呼称は「発生件数」ではなく 「認知件数」 に2006年度から改められている。いじめは第三者からは見えづらく「教員が認知できた件数は真の発生件数の一部である」という認識からの呼称変更。文中では端的に「件数」と省略。
※2・NPO法人「教育改革2020『共育の杜』教職員勤務実態調査(2020年8月21日発表)
石井 志昂 『不登校新聞』編集長

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いしい しこう / Shiko Ishii

1982年東京都生まれ。中学校受験を機に学校生活が徐々にあわなくなり、教員、校則、いじめなどにより中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳から日本で唯一の不登校の専門紙である『不登校新聞』のスタッフとなり2006年から編集長、2020年からは代表理事も務める。これまで不登校の子どもや若者、親など400人以上に取材し、女優・樹木希林氏や社会学者・小熊英二氏など幅広いジャンルの識者に不登校をテーマに取材を重ねる。「あさイチ」「逆転人生」(NHK)「スッキリ」(日本テレビ)「報道特集」(TBS)などメディア出演多数。不登校新聞社が編著書として関わった書籍に『学校に行きたくない君へ』(ポプラ社)などがある。

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