近畿圏にも波及した、人手不足の深刻度 親戚総動員で何とか開業にこぎ着けた居酒屋も…

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同調査によれば、30.0%の企業がすでに「現在、不足している」と回答。これに「現在は不足していないが、今後、不足する懸念がある」と回答した33.3%を合わせると、6割の企業が人手不足に悩まされていることがわかった。

そして、この状況は会社の規模が小さくなるほど厳しく、資本金1000万円以下の企業ではこの割合が7割を超える。業種別では、建設業の9割以上が人手不足と回答している。大阪商工会議所によれば、「確実に仕事量が増えているのに、熟練工が足りないため、積極的に新規の仕事を取りにいけない」という建設業者の声も聞かれたという。

このため、各企業は人材確保・定着に向けて、「すでに賃上げなどを行った」企業が47%、「今後、実施を検討している」企業が27%弱など、ほぼ4社に3社が労働条件の改善に取り組んでいる。ここでも、中堅と中小とでは対応に差が生じている。資本金1億円以上10億円未満の中堅企業だと5割超がすでに賃上げなどを行ったのに対し、同1000万円以下の中小企業は4割強にとどまる。

中小企業の技術継承に懸念

さらに、「求人票の時給単価を上げざるをえないが、不満を抑えるため、既存の従業員の時給も上げなければならない」(紙製品加工業)。つまり、人材確保対策は人件費全体の引き上げにつながっているわけだ。その結果、売上高が伸びても、人件費が収益を圧迫する事態を引き起こしている。

実際に、「人件費増を収益好転でカバーできない」とする企業が33.4%、「人件費増と収益好転とが均衡」とする企業が51.0%と、景況感改善の恩恵を十分に享受できていない企業が多いことがわかる。

これも資本金1000万以下の企業に限ると、50.9%が人件費を収益好転でカバーできず、30.9%がカツカツでやり繰りしているという結果になった。中小企業の中には、仕事は増えても賃上げや賞与を増やしたことで減益に陥る企業も多いようだ。

人を雇っても即戦力化できるわけではなく、教育や研修が欠かせない。このため、雇用者数が増えても納期に遅れが生じている企業もある。また、製品チェックをパートに任せていた製造業では、新しくパートを増やしたものの、技術指導が間に合わず、品質の低下を招いている。

さらに、今回の人手不足の裏には、デフレ経済下でなかなか雇用を増やすことができなかったため、従業員が高齢化しているという問題も潜む。“技術が命”の中堅・中小製造業において、技術の継承が途絶えるという、もう1つの問題も生じているようだ。

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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