日朝間の説明が食い違う重大原因とは? お粗末にも、特別調査委員会を示す文書がない!

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提供:picture alliance/アフロ

2006年以降、日本が独自に行ってきた北朝鮮への経済制裁の一部解除が7月4日、決定された。解除に踏み切ったのは、今年5月29日の日朝局長級会談で示された合意内容の一つである拉致問題の再調査に関する特別調査委員会を北朝鮮が設立し、その構成メンバーを日本側に提示、それを日本が受け入れたためだ。

実施にともない、日本政府は「特別調査委員会に関する北朝鮮側からの説明概要」を発表した。また同日、北朝鮮の朝鮮中央通信が「すべての日本人に関する包括的で全面的な調査のための『特別調査委員会』が組織されることについて」と題して、日本側と同じ内容を報道した。これは7月5日付の北朝鮮・朝鮮労働党の機関紙『労働新聞』にも掲載され、北朝鮮国民にもこの特別調査委員会が設立されたことを知るようになった。

北朝鮮は「拉致被害者」よりも「残留日本人」が先

ただ、日朝双方が発表した説明文に、微妙な違いがある。たとえば、特別調査委員会内に設置される分科会が記された順番だ。

日本側の説明文では、「拉致被害者」、「行方不明者」、「日本人遺骨問題」、「残留日本人・日本人配偶者」の順番で分科会を設置することが記されている。一方、北朝鮮側が発表した文書によると、まず「日本人遺骨」、次に「残留日本人および日本人配偶者」、「拉致被害者」、「行方不明者」の順番となっている。大事なことを最初に書くものと考えれば、日朝間で優先順位がすでに食い違っているということになる。

これについて、北京の北朝鮮情報に詳しい中国人研究者は、日本の一部メディアが最近、二ケタの人数が掲載された日本人のリストが北朝鮮から日本に手渡されたと報道したことを踏まえ、「リストがあるかどうかは不明だが、二ケタという人数が仮に正しいとすれば、記されているのは残留日本人や日本人配偶者がほとんどではないか」と指摘する。それは、「5月の日朝合意で『すべての日本人を対象』とした段階で、拉致被害者、特定失踪者よりは相対的に出しやすい残留日本人で数を水増して、日本側を納得させようとの意図が北朝鮮には最初からあったのではないか」と推察する。

だからというわけではないが、北朝鮮の朝鮮中央通信は、「金正恩国防委員会第1委員長が(北朝鮮西部)平安南道南浦市に住む日本出身で100歳になる女性の誕生日に贈り物を届けた」ことを報道している。

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