総務省で進むNTTの組織問題。「分割」主張するソフトバンクらの思惑は

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総務省で進むNTTの組織問題。「分割」主張するソフトバンクらの思惑は

20日、総務省で開かれたICTタスクフォース。昨年末、原口一博総務相が提示した光ファイバー敷設のビジョン「光の道」構想について、事業者の見解を聴くことを目的として開催された。組織分割を取りざたされるNTTとともに、主役となったのはやはりソフトバンクだった。

登壇した孫正義社長(=写真=)は開口一番、「『光の道』の政府案を全面的に支持したい」と述べ、3月の政務三役会議で「2015年までにブロードバンド普及率(利用率)100%」「そのためにはNTTの経営形態を含め、実現方法を検討する」とした原口総務相の意向に賛意を示した。

ソフトバンクが提案するのはNTTの持つ、電柱から各家庭までの引き込み線(アクセス回線)を資本分割し別会社とする案。KDDIやイー・アクセスなど、同じくNTTの分割を主張する他社の案と大枠では同じだ。

一括工事による建設費用の大幅低減や通信サービスの競争促進により、「税金ゼロで実現が可能」「光ファイバー整備と同時にメタル回線を撤去することで、現在収益を圧迫している年間3900億円の維持費を大幅に低減できる。NTTの利益が増えることになる」「(新会社と既存NTT分合計の)企業価値が向上し、NTTの株主にとってもいい話」(孫社長)と、各利害関係者にとってのメリットを強調した。

ソフトバンクをはじめ、各事業者がNTTの分割を要望するのは、固定通信事業において公正な競争環境が確保されていないという認識があるためだ。電柱や地下通路など、有線を各家庭まで敷くために必要な設備は電電公社時代からの資産を引き継いでいるNTTが独占的に所有している。

電気通信事業法の定めにより、NTTにはこうした設備を他事業者に開放する義務を課せられているが、「設備利用の申請をしてから許可が出るまでに時間がかかりすぎる」「『新たに線を敷くための空きスペースがない』と断られることがあるが、真偽が不透明」(通信事業者)など、中立・公平性が保たれていないという不満が各社にあった。

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