「DV家庭で育った女性」が婚活で苦労するワケ

恋愛に踏み込もうとするとブレーキがかかる

恋愛にこれまで踏み込めなかったのは、幼い頃から母に暴力を振るう父を見て育ったトラウマからだ。両親は、有紗が小6のときに離婚。その後、母の実家で祖父母と共に暮らしてきた。祖父は実父とは正反対の性格で、何があっても声を荒げて祖母や母を叱責することがなく、その後は穏やかで平和な暮らしだった。

「祖父は、私が高校生のときに亡くなりました。そのときもメチャクチャ悲しかったけれど、私は10代でまだ若かったし、母や祖母がそばにいたから“寂しさ”とか“取り残される感”は、なかった。ただこの歳になると、60代や70代になった自分というか、老後の人生をどう生きるか考えるようになりますよね。急に心細くなったんです」

ただ婚活をスタートするに当たって、懸念していることもあった。父親が母に暴力を振るっていた姿は、今も脳裏から消えていない。自分は男性と向き合って、結婚に踏み切れるのか。 

「父は、ささいなことでキレる人でした。冷たいうどんが食べたかったのに温かいうどんを母が作ったとか、いつも夕食は7時からなのに母がもたもたしていて、それが7時半になってしまったとか、そんな低レベルでキレる。今考えれば、自分のストレスがたまっていたときに、母が小さなヘマをすると、そこが発火点になっていたんですよね。

キレるとまずは顔の形相が変わるんです。目が据わり、母に大声で罵詈雑言を浴びせながら向かっていく。父が母を殴っているとき、私はただただ怖くて体が固まり、その場から身動きが取れなくなっていました」

恋愛の機会はあったが…

両親の離婚後は穏やかな暮らしが始まったのだが、そこからも大きな声を出す男性には恐怖を覚えたし、恋愛には苦手意識があったという。

「中学の頃、殴り合いのけんかをする乱暴な男子を見ると、体が固まりました。中高時代って、女子だけで集まると、『○○くんがカッコいい』とか、『誰々が誰々に告白した』とか恋愛話をすることも多くなるじゃないですか。でも、私は恋愛には踏み出せないでいました」

しかし、童顔でかわいらしい顔をしている有紗は、年頃になると、男性から声をかけられることも多くなった。

「大学時代、インカレで出会った人と、ちょっと彼氏彼女っぽい感じになりました。手をつないでキスまではしたけど、体の関係を求められたときに、もうそれ以上進めない気がして、私から連絡を取らなくなりました」

社会に出てからも、同じ会社や取引先の男性から食事に誘われると、出かけてはみるものの、デートの回数を重ね、男女の関係を求められるようになると、途端に気持ちが引いてしまった。

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