「DV家庭で育った女性」が婚活で苦労するワケ 恋愛に踏み込もうとするとブレーキがかかる

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そこで、私はこう言った。

「ならば、その気持ちを義之さんに伝えたらどう? お互いの考えがいつもぴったり一致している恋愛は存在しないし、気持ちがすれ違うからけんかにもなる。すれ違ってけんかをしても、それを話し合いで解決していける関係がいいと思いますよ。それこそ、こちらから違う意見を言ったときに、キレたり、暴れたり、暴力を振るってくるような男性だと困るじゃない?」

しかし、義之との交際も、翌日“交際終了”を伝えてきた。やはり、一歩先には踏み込めなかったようだ。

余談だが、昨年のクリスマスには、もう1組、交際終了になったカップルがいる。女性が私の会員だったのだが、男性からはやり、「週末に遅いクリスマスを、僕の家でやりませんか? スーパーで食べる物とケーキを買って」と提案された。それに対して彼女は、憤慨してこう言った。

「スーパーで食べ物とケーキを買うって、どういうことですか? だいたい男性の一人暮らしの部屋に呼ぶこと自体が今の段階ではナシだし、クリスマスをお祝いする食材をスーパーで買うって。私は、スーパーのケーキの価値ですか?」

男性の婚活者は気をつけていただきたい。関係性ができていないうちに部屋に呼ぼうとすると、真剣に婚活をしている女性ほど男性に不信感を抱く。ことに、恋愛慣れしていない女性は、戸惑い、憤り、そこから交際終了を出してくる。

話を戻そう。その後も有紗は、婚活を続けている。婚活市場から去っていかないのは、彼女の中で結婚することを諦めていないからだろう。

時間はかかるかもしれないが、彼女が諦めない限り、一歩踏み込める相手がきっと現れるはずだ。もしかしたら一歩踏み込めないことを重ねて経験していくうちに、ハードルが下がって、そこを飛び越える勇気が出てくるかもしれない。

親のDVが子どもに与える影響は?

有紗のように、育ってきた過程で父親が母親に暴力を振るうのを目の当たりにしてきた女性は、なかなか踏み込んだ恋愛ができなくなっている。

一方で、“DV家庭で育った子どもは、DVになる。DVは、連鎖する”とは、よく言われることだ。

これに関しては、連鎖もあるし、そんな親を反面教師にする子どももいる。

仲人をしてきた経験則から言えることは、結婚相手を選ぶときに相手の収入、仕事、見た目など持ち合わせている条件に目が行きがちなのだが、それよりも大切なのは、おおらかで滅多なことでは怒らないパートナーを選ぶことだ。

どんなに才能があり、どんなにお金を持っていても、DV気質の人と結婚したら、穏やかな日常は紡げないし、幸せな結婚生活は送れないだろう。

鎌田 れい 仲人・ライター

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かまた れい / Rei Kamata

雑誌や書籍のライター歴は30年。得意分野は、恋愛、婚活、芸能、ドキュメントなど。タレントの写真集や単行本の企画構成も。『週刊女性』では「人間ドキュメント」や婚活関連の記事を担当。「鎌田絵里」のペンネームで、恋愛少女小説(講談社X文庫)を書いていたことも。婚活パーティーで知り合った夫との結婚生活は19年。双子の女の子の母。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイトはコチラYouTubeも開設。

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