逝去1年後、「志村けんロス」にどう向き合うか 「いない」という状態を受け入れる為の3つの方法

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実感がない日々を過ごしつつ1年が経過したことがわかったとき、人々は「本当にいないんだ」という喪失感を突きつけられた状態になるでしょう。これは愛する人やペットが亡くなったあと、「遺影を見ると思い出してしまうから飾らないようにしている」という人が、最初の命日を迎えて否応なしに実感せざるをえない状況と似ています。

では、押し寄せる「ロス」にどう向き合っていけばいいのでしょうか。志村さんのことに限らず、昨春からのコロナ禍で身近な人や大切な存在を失った人も多いだけに、相談者さんたちとのコンサル経験を踏まえつつ、「ロス」との向き合い方を下記につづっていきます。

人にしろペットにしろ大切な存在との別れは、「人生でいちばんつらい出来事」「死ぬより死なれるほうがキツイ」と言われるように、「何もする気が起きない」という無気力状態になるほか、睡眠障害、食欲減退、疲労・倦怠感、胸の息苦しさ、胃腸の不振、さらに、うつ病などの精神疾患に侵される人もいるほど苦しいもの。しかし、「ロス」は決して病気ではなく、正常な心と体の反応であり、向き合い方を整えれば軽減させていくことができます。

大切な存在を失ったら「ロス」になるのは当然であり、親しんできた年月が長いほど、その深刻度は大幅にアップ。その点、長年にわたって楽しませてくれた志村さんを失ったことのショックは大きく、しばしば「ロス」の声が飛び交う連ドラの終了直後などとは歴然の差があります。

克服するものでも乗り越えるべきものでもない

そもそも「ロス」は克服するものでも、乗り越えるべきものでもありません。個人差こそありますが、人間として生きている以上、避けては通れない感情だけに、「どう受け入れていくか」「どう共存していくか」を考えていくことが大切です。

その意味で最も避けたいのが、悲しみを「我慢しよう」「落ち込むな」と自分に言い聞かせること。どんなに「我慢しよう」と思っても、「落ち込むな」と言い聞かせても、根本的な解決にはならず、必ず「ロス」がぶり返してくるものです。

まずは、「ロス」は仕事や趣味のように「頑張って努力すれば改善・解決につながるものではない」という前提を認識しておくこと。そのうえで、「『いない』という状態を受け入れて徐々に慣れていく」「心の中に『いる』という事実を徐々に実感していく」というステップを踏む」ことが重要なのです。

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