企業間関係の構造─企業集団・系列・商社─ 島田克美著 ~現実から出発して日本企業の特色を見出す

企業間関係の構造─企業集団・系列・商社─ 島田克美著 ~現実から出発して日本企業の特色を見出す

評者 奥村宏 会社学研究家

 「企業とか会社について、もっと知りたい」という学生は多いが、「理論の中の企業がピンとこないのは、理論の前提とその論理が現実から離れていることによる」と著者は言う。公正取引委員会から経済企画庁、ジェトロ、住友商事を経て大学教授になったという経歴を持つ著者は、なによりも現実に立った理論を展開していく。

企業を理論的に解明するためにはさまざまな視点が必要な中で、企業間関係に着目し、そこに日本の企業の特色を見出す。これまで日本の企業間関係としては企業系列や企業集団が注目され、これについては多くの労作があるが、最近はこのような問題は忘れられ、あまり注目されなくなっている。

しかし、企業を見るうえで、企業間関係の視点が重要であることは現在も変わらない。市場競争という大枠の中で、企業はさまざまな結びつきを持っているからだ。著者は特に企業間の取引関係に注目して理論を展開しているのだが、他方で企業間の株式相互持ち合いについても詳しく分析している。これは商社論においても変わりがない。

本書は、前半の企業間関係論を発展させて、後半部分で総合商社論として踏み込んだ展開をする。「商社の本質は商権にある」という商社商権論を著者は早くから唱えてきた。それを改めて具体的に分析したのがこの部分である。フードシステムのインテグレーターとして、総合商社の川下重視への変化対応など新たな分析もしている。

これまで日本の経済学者や経営学者による企業論は、往々にしてアメリカの理論を無批判に輸入することに専念しがちであったが、これに対して著者はあくまでも日本の現実から出発して、それを理論化しようとする。そこにこの著者の本領が発揮されている。

しまだ・かつみ
企業論、企業間関係の研究者。中でも企業間関係を組織する商社の研究で著名。1926年石川県に生まれる。東京大学法学部卒業。人事院、公正取引委員会、経済企画庁、ジェトロ、住友商事を経て、京都学園大学教授、流通経済大学教授を歴任。

流通経済大学出版会 4200円 351ページ

  

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