仕事の超基本「お客の声を聞く」の正しい考え方

意外と知らない鉄則「お客の声は2段階で聞け」

厳密には、ホームビジットなどの調査をするに先立っても、消費者心理に対する仮説を持っている必要があります。でないと、限られたインタビューの時間を有効に使う質問が考えられないからです。

しかし、そのように消費者心理を深掘りするのは専門家でも難しいことです。少しハードルを下げ、定量的に検証するための「仮説」を見つける、という目的を持って、積極的に顧客に会って話を聞いてみることは、どのようなビジネスでも大変有益です。

「1人の顧客の真実から始める」は情報発信にも有効

この「1人の顧客の真実から始める」というアプローチは、大規模な商品・サービス開発にかぎらず、あらゆる企画に応用することができます

私はマーケターとして企業に勤める傍ら、このようにメディアに記事を寄稿させていただくほか、個人でnoteというブログサービスに日記を書いています。この日記のテーマを考えるにあたっても、届けたい相手の話を直接聞く、ということを定期的に実施しています。

進路に悩んでいる人のキャリア相談に乗る「メンター」をボランティアでやっているのですが、ボランティアでもやりたいと思う理由は、このような機会をつくりやすいからです。

そして、そこで発見した「1人の顧客の真実」を、ツイッターなどでアンケートにかけて検証していきます。ツイッターなどのアンケートは、統計的には必ずしも正確なものではないですが、大きな方向性はそこでつかむことができると考えています。何より‟ベター・ザン・ナッシング”=「やらないよりマシ」です。

noteはあくまで趣味であり気晴らしでもあるので、いつもこのようにして書いているわけではありませんが、こうしたプロセスをしっかりと踏んで書いたものは明らかに他のものより良く読まれます

「顧客の声を聞け」とは、言い古されたビジネスの格言です。顧客の声を聞くことの重要性は、ビジネスパーソンであれば誰もが疑わないでしょう。しかし、それはあまりに言い古されており、その正しさは揺るがないながら、人々の注目を集め行動を変える力を失ってしまっているように思われます。

ですから、ここに文豪ヘミングウェイと、マーケティングの賢人・先人たちの知恵を掛け合わせた新しい格言を提案します。「1人の顧客の真実から始めよ」。実在する顧客の、実在する課題や欲求、悩みごとや願いごとを「出発点」にするのです。

「年収1000万以上の高所得層」などというセグメント化された顧客は、何せあくまでフィクションなのです。そのような集団は現実には存在しません。そのような結社があるわけでも、コミュニティーがあるわけでもありません。

他人がつくったフィクションの中に真実を見つけるのは至難の業です。であれば、自分自身で「真実の1文から」フィクションを書き始めてみてはいかがでしょうか。

ヘミングウェイと並び、私淑する文筆家、アメリカの国民的SF作家でありヒューマニストであるカート・ヴォネガットの言葉を、最後に紹介させてください。

「本人に向かってそう言ったことは一度もないが、私はいつも姉に読んでもらうつもりで小説を書いてきた。もし、私が何らかの芸術的統一性に達しえたなら、その秘密は姉にある」(『スラップスティック』早川書房)
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