人手不足の「介護業界」外国人材は定着するのか

文化や習慣などを理解し教育することが大切だ

外国人介護福祉候補生(写真:Natsuki Sakai/アフロ)

介護業界では人材不足問題が年々深刻化してきている。そうした中で、人材確保策の柱の1つとして期待されているのが外国人介護人材の受け入れである。

しかし、さまざまな条件や制約、費用もかかることなどから、介護現場では外国人人材の受け入れは難しいとの声も少なくない。また、現場に就労してからも介護技能・技術力、日本語・コミュ二ケーション能力などの問題から長続きせずに離職・帰国したとの指摘も依然ある。

なお、外国人介護人材を受け入れ・雇用できる主な制度には、

① EPA(経済協力協定)に基づく外国人介護福祉士候補者の雇用(以下、EPA制度)
② 日本の介護福祉士養成校を卒業した在留資格「介護」を持つ外国人の雇用
③ 技能実習制度を活用した外国人(技能実習生)の雇用(以下、技能実習制度)
④ 在留資格「特定技能1号」を持つ外国人の雇用

の4つがある。そこで今回は、①と③の制度を利用している2つの法人を取材。外国人人材の確保と定着、そして今後に向けた課題について考える。

特別養護老人ホーム2施設、保育所などを運営する社会福祉法人千里会(横浜市)は、EPA制度がスタートした翌2009年より毎年、インドネシア人を中心に介護福祉士候補者を受け入れてきた。現在、介護福祉士合格者23人、候補者26人、特定技能1人の計50名が2つの特養で働いている。

試験合格のための教材づくり

介護福祉士候補者の受け入れを上手に行うポイントについて、牧野裕子理事・法人統括部長は、「EPA制度ではまず、候補者と事業者のマッチングを行う形になっており、候補者が当法人を選んでくれないとマッチングは成立しない。当法人に興味を持ち、選んでもらうためには、(介護福祉士国家試験の)合格率が高いことが重要と考えた」と話す。

神奈川県では、外国人介護福祉士候補者に関する各種学習支援策が取られているが、当時は用意された専門学校の授業数などは少なかった。そこで、試験に合格することに特化した教材を作成し、最初の2年間は、牧野理事が自ら学習指導した。

試験に合格するためにもう1つ重視したのは、学習時間を週40時間勤務の中には組み込まず、専門学校への登校も、法人での学習も、公休・有休休暇を含むそれ以外の時間にさせるようにしたことだ。

それは、「外国に行って仕事をしながら試験に合格するためには、必死にならないと難しい。そのためには、自分の時間を使って勉強してもらったほうがよい」(牧野理事)という考えによる。

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