飲み屋に「ランチのノウハウ提供」する深い理由 夜間営業ができない店舗と生産者を繋ぐ仕組み

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メニューはカンパチをメインとした定食5品。定番は特製のしょうゆにつけたカンパチに、カリカリ梅ごはん、小鉢、汁物などで構成される「極上カンパチ飯」(890円・税別)だ。

「極上カンパチ飯」。主役のカンパチはあっさりと上品だが、とろりとした食感が特徴。甘めのしょうゆで調味されており、カリカリ梅ご飯がよく合う。また特製キャベツガリ、雲丹味噌など何度もの“味変”を演出する脇役も、リピーターを呼ぶ(写真:スパイスワークスホールディングス)

実は同店は、珍しくコロナによる“恩恵”を受けた店でもあった。古民家再生プロジェクトとして2017年からオープンした「ほぼ新宿のれん街」に連なる同店。新宿駅新南口から徒歩5分、代々木駅から1分の好立地だが、繁華街ではないため、認知度はやや低めだったそうだ。

しかし、「夜の街」報道も手伝ってか、歌舞伎町などの新宿エリアから客足が代々木方面に流れるように。そのため、1回目の緊急事態後は、例年の1.5倍の売り上げになっていたそうだ。コロナによって認知度が上がったわけだ。

それが、2度目の緊急事態に突入すると売り上げは宣言前の3分の1に減少。ランチにも手を出したが、もともと貝類がメインということもあり、客を満足させるだけのメニューを提供できない。競合も多い中、ランチ帯はあきらめて、土日の昼飲み需要だけでしのいでいた。

そこで、小浜水産プロジェクトの存在を知ったのだそうだ。

調理はほぼ包丁でカットするだけ

カイフォルニアのマネジメント担当者は、小浜水産プロジェクトについて次のように語る。

「カンパチを仕入れるだけでメニューなどは提供してもらえ、しかも生産者応援になるというのでとてもいい話だと思いました。商品も、味がすごくしっかりしていて臭みもなく、とても質のいいカンパチ。フィレ状で仕入れるため、調理はほぼ包丁でカットするだけ。従業員の負担もありません」(アルバ飲食店事業部筒井邑氏)

味変をしながら心ゆくまで楽しんだら、最後は無料のアゴ出汁をかけてお茶漬けにするのがおすすめ(写真:スパイスワークスホールディングス)

また、実際の営業状況については、「ファンもついて、毎日日替わりで食べにくる人もいる。ただ、もともとランチは1回転がやっとの店。だから1日の平均は30~40人で、5万円行くか行かないか。ただ、昼間に開けていることが将来の夜の営業につながるので、ありがたい」(アルバ代表取締役井上豊氏)とのことだ。

このように、利益面ではトントンながら、店としての機能や客足の維持を目的に小浜水産プロジェクトを活用しているようだ。

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