元婚約者と「20年後に結婚」した人の衝撃の真実 夫は美化し、妻は見えなかったよさを発見した

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「前の奥さんからあまり食事を作ってもらっていなかった彼は食生活が乱れていました。油物と炭水化物を控えめにするだけで160もあった血圧が110にまで下がったんです。お酒は2人とも好きなので、お酒が飲めるおかずでお腹いっぱいになるように料理しています」

毎晩が小料理屋ごっこだと幸せそうに笑う頼子さん。20年前に雅俊さんと結ばれていればよかったのかと問うと首を傾げた。

「夫は不器用だけど、地道にコツコツと取り組むことができる人です。現場監督の仕事をしているのですが、行かなくていい日まで現場に行っています。自分が見ていないとケガ人が出そうで心配なのだそうです。こういうよさを20代の頃はよくわかりませんでした。昇進につながるわけでもないのだから、もっと要領よくやればいいのにと思っていたはずです」

若い頃は気づかなかった、相手の性格のよさ

今では雅俊さんの「不器用さ」への尊敬と愛情があふれている。大手建設会社で長年勤めている雅俊さんだが、関連会社からの接待ゴルフなどは断り、自分の分は必ず自分で払ってきた。自分のほうがお世話になっている、という姿勢を崩さない。

「業者の方に『夫がお世話になっています』と私が頭を下げるとすごく恐縮されることがあります。威張ろうと思えば威張れる立場なのに彼はまったくドヤりません。私だったらドヤるのに!と思うことがあるぐらいです」

家庭内でも雅俊さんはつねに謙虚で、コーヒーを出しただけで「ありがとう」と言ってくれるのが頼子さんはうれしい。頼子さんの掃除が行き届かない場所は自分でキレイにして、押しつけがましいことは何も言わない。

若い頃は気づかず、むしろ疎ましく思っていたような相手の性格。年齢を重ねてから目の当たりにすると、その純粋さや誠実さに胸を突かれたりする。

雅俊さんにとって頼子さんはずっと「高嶺の花」だったが、頼子さんは雅俊さんの善良性を40代の新婚生活で改めて見直している。晩婚の意義を感じさせてくれるインタビューとなった。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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