「人事の噂」好き上司が20代に煙たがられる理由 できる人は「コントロール不能なもの」に無関心
また、心理学者チクセントミハイの「フロー体験」理論というものがあります。
「フロー体験」とは、認知資源が100%今取り組んでいる対象へ注がれている没頭状態のことです。この「フロー体験」状態になると、ものすごい集中力と楽しい気持ちが生じ、結果、業績も上がるというわけです。
この状態になるためにはいくつか条件があるのですが、そこに「対象への自己統制感(つまり、コントロールできる感覚)」と「集中を妨げる雑音のシャットアウト」があります。
経営幹部人事の噂話などはコントロールもできない「雑音」ですから、そんなことに気を取られていては仕事に差し障るというわけです。
上の人事の噂話より、若手をサポートしてほしい
さて、そんな上司や先輩である中高年世代を、若者はどう見るでしょうか。「どうせ影響力もないのだから、結果が出るまで静かに仕事に集中してほしい」と思うのではないでしょうか。
もちろん、誰が次のトップ、リーダーになるかは、事業の方針に影響を与えるわけですので、中間管理職層が興味を持つことは当然ではあります。しかし、それは結果が出てから速やかに情報を入手し、粛々と対応すればいいことであり、それまでは今の仕事に集中しておけばいいのです。
中間管理職の日常の仕事は任せられたミッションをチームとともに達成することですが、そのために若手をサポートすることに尽力すべきなのです。
さらに言えば、経営幹部の人事という遠い天上の世界での出来事などには興味がないのです。それを休憩時間や飲み会の場など、隙間時間に上司に話題として持ち出されても、心ここにあらずとなるのは当然です。
さまざまな調査を見ていると、若者の仕事におけるモチベーションリソース(やる気の源)は、われわれ中高年世代のような出世欲やお金などの物質的なものよりも、「成長できるか」や「社会に貢献できるか」「知的好奇心が満たされるか」というようなものに変わってきていることがわかります。