日経平均は反発したが調整はまだまだ不十分だ 「長期は上昇」でも、短期では「再度の下落」も
繰り返しになるが、当面の株価調整は経済や企業収益の実態悪化ではなく、買われすぎた株価が「正常化」する、あるいは下向きの勢いがついて若干の売られ過ぎまで踏み込む、というものだ。とすれば、経済や企業収益から下値メドを算出することは難しい。「2万7000円が底値の可能性はないのか?」「2万6000円は?」と聞かれれば、そうした可能性は十分にあると考える。底値が正確にどこになるかなど、まったくわからない。
こうした「よくある」株価反落局面がこれから短期的に生じるいっぽうで中長期的には株価が上昇基調をたどるとすれば「売りで儲けよう」、というスタンス(例えば個別銘柄の信用売りや株価指数先物で売りから入る、など)は、すでに保有している現物株の一部ヘッジというなら別だが、筆者は勧めない。
むしろ長期の株価上昇基調を想定して、「どこで買うか」が当面のカギだろう。「これから数千円日経平均が下がるかもしれないし下がらないかもしれないが、例えば年末は今より株価水準が高いのであれば、ぼちぼち買っていこう」という姿勢がいいと考えている。もちろん、投資は自己責任を貫徹する限り、つまり投資で損失を被っても誰のせいにもしない限り、どのような売買を行ってもまったくの自由だ。
マーケットを悲観的に見る必要はない
また、個別の銘柄や業種の物色面では、短期反落後の株価上昇基調においては、かなり「素直な相場」になると見込んでいる。
逆に今年2月半ばまでは、アメリカではGAFAやナスダック指数採用銘柄など、一部の銘柄が「上がるから買う、買うから上がる」といった勢い頼みの株価上昇をみせていた。
だが、他の多くの銘柄の株価は相対的に不振だった。日本でも述べたように、日経平均ばかりが上昇し、幅広い銘柄の株価が底上げしたとは言いがたい。筆者が行った試算ではないが、S&P500指数を株価上昇率が高かった5銘柄と他の495銘柄、日経平均(225銘柄)を同様に5銘柄と220銘柄に分けて、それぞれの株価平均を計算すると、5銘柄以外については株価の上昇力がかなり乏しかった、という分析を目にした。
足元が「金(カネ)余り相場だ」と呼ぶ人は多く、実際に日米のM2の伸びなどは高い。だが本来の金余りなら、企業実態が良いものも悪いものも一様に株価が上昇しそうなものだ。だが株式市場以外をみても、国際商品市場では、原油や銅など需要拡大期待に支えられたものは相場が堅調だが、金(ゴールド)価格は軟化している。金余りなら投資資金は金にも流入しそうなものだ。つまり現在は、全面的な金余り相場ではなく、「局地的金余り相場」とでも呼べるもので、そのため物色が歪んでいたと言えよう。
その物色の歪みが、これからの短期株価調整で、正常化すると予想している。するとその株価調整で歪みは「仕切り直し」となり、その後は素直によい企業の株価が上がる、という展開になると期待している。そうした好業績に沿った相場になるような、企業収益改善という全体環境は、徐々に整ってきている。
2月半ば辺りまでの、「株価指数は大きく上振れしているが、自分が幅広く保有している個別銘柄の株価は冴えない」と、浮かない顔をした投資家が多かった相場付きに比べれば、短期下落後の上昇相場は、取り組みやすい物色展開になるのではないか。そうした筆者の見立てが正しければ、やはり中長期的に、株式市況の先行きを悲観視する必要は薄いだろう。
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