日経平均は反発したが調整はまだまだ不十分だ 「長期は上昇」でも、短期では「再度の下落」も

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筆者が主催するセミナーや有料のメールマガジンでは、中長期的な市況展望も解説しているし、このコラムでもふれているが、長い流れでは決して株価の先行きを悲観視する必要はない。

また前回の当コラムでも「『十分な』株価下落が済めばそれ以上に株価が落ち続ける理由は消える。その後は年末に向けて、長い流れでの世界経済の持ち直しを反映して、日本株を含めた世界株の上昇基調が復活すると予想している」と書いた。

このように長期的に楽観しているのは、主要国の経済は、足元で一部指標のもたつきや反落は見られる(したがって、やはり2月半ばまでの株価急騰は、そうした経済指標の『二進一退』と比べて買われ過ぎだったと考える)ものの、大きな流れでは昨年4~5月辺りを大底とした持ち直し基調を鮮明にしている。企業収益見通しの上方修正も、修正幅の大小は国によって違う(特にアメリカの上方修正幅に比べて、日本は見劣りがする)が、明るい方向に向かっている。

筆者が短期的に見込む主要国の株価反落は、単なる買われすぎの修正であって、経済・企業収益の実態に何か悪いことが起こっているわけではない(長期金利の上昇も、実体を悪化させる可能性が低いことは、やはり前回のコラムで述べた通りだ)。

さらに日米欧の主要諸国では、景気回復を確実なものとするため、財政・金融面からの景気支持策は、少なくとも年内は維持され続けるだろう。とすれば、短期株価下落後は景気・企業収益の回復と景気支援策維持の両面から、株価は上昇軌道に復すると予想される。

「売り」を考えるよりも「いつ買うか」がカギ

だが、「馬渕さんは日経平均が目先どこまで下落すると予想するのですか?」とどうしても「一本値」で尋ねられることも少なくない。そういう場合は「2万5000円前後」と答えている。すると大概の反応は「げっ!」というものだが、特に大した株価下落だとは思わない。驚きを呼ぶのは、2月半ばまで株価の上昇基調が急すぎたため、人々の目線が上に振れてしまい、2万5000円が恐ろしく低い水準に感じられてしまうからだろう。

実際、日経平均の下落の起点を、目いっぱい高めにとって、2月16日のザラ場高値3万0715円としても、そこから2万5000円は約18.6%の下落率となり、2割にも達しない。10数パーセントの株価下落はよくあることだ。そもそも昨年11月上旬の日経平均の水準は2万5000円を割れていたのだから、はるか昔の株価水準まで戻ってしまうわけでもない。少しも「暴落」でも「バブル崩壊」でもないだろう。「バブル崩壊」とは、株価が3分の1や4分の1になるような現象を指すものだ。

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