東大に続け「起業する京大生」にガチ期待する訳 山本康正、辻庸介、丹下大「起業向き人材の宝庫」
山本:私が拠点を置くアメリカでは、ハーバード大学にもスタンフォード大学にも、卒業生が後輩のベンチャーに投資する仕組みがあります。そしてようやく京大発ベンチャーにも丹下さんのシフトや辻さんのマネーフォワードのように、株式時価総額が2000億円を超える会社が出てきた。「やるなら今だ」というわけです。
「起業家向き」の学生を支える環境が必要だ
――学生の気質で言えば、官僚や大企業のトップを大量に輩出する東大より、数多くのノーベル賞受賞者を出してきた京大生のほうがクリエイティブで、起業に向いている気がしますが。

辻:僕の場合、大学を卒業した後、ソニーに入り、マネックス証券に出向、転籍した後、マネーフォワードを立ち上げるわけです。京都という場所は東京に比べると、あらゆるものから隔絶されていて、情報も資金も入ってこない。学生の気質が起業に向いていても、環境が違うんですね。
丹下:僕は工学部から大学院に進み、同期は70人くらいいましたが、そのうち65人は宇宙開発事業団とかトヨタ自動車とか三菱重工業に就職し、数人がゴールドマン・サックスやマッキンゼー・アンド・カンパニーに行きました。

僕みたいにベンチャー企業(製造業向けコンサルティング会社のインクス=現SOLIZE)に行くのは落ちこぼれだけでした。僕自身はそれがかっこいいと思ってましたけど。京大生がベンチャーに行くようになったのは2010年を過ぎたころからですかね。
ところが最近になって「自分で起業したほうがいい」という学生が増えてきた。今、付き合っている学生は中学生のころからプログラミングをやっていて、大学3年で20人の仲間とベンチャーを立ち上げました。コンサル会社から内定をもらっているそうですが、そもそも就職する気はないみたいです。

辻:今の学生さんは、自分で情報を取りに行って動く人と、そうではない人に分かれます。
自分で動く人は在学中や卒業後に起業する。やりたいことが決まらない人やどうやったらいいかわからない人は、とりあえず勉強するためにベンチャーに行く。
大企業に行く人たちも終身雇用ではなくなっていることを知っていますから、いずれは自分で何かをやるしかないと考えているようです。
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