東大に続け「起業する京大生」にガチ期待する訳 山本康正、辻庸介、丹下大「起業向き人材の宝庫」
山本:昔から「京大生は群れない」と言いますが、起業という意味でもネットワークが少ないんですね。京都在住の起業家もロールモデルが少なくて、京セラの稲盛和夫さんとか日本電産の永守重信さんでは、雲の上の人すぎて相談にも行けない。
そうすると、とりあえず留学したり、グーグルなどの外資に流れたりする。「他の人と同じことはしたくない」というベンチャー向きの人が多いのは事実ですが、やはり起業家が育つ環境が整っていないんです。
丹下:僕のところにも、起業を目指す、ものすごく優秀で真面目な学生が「僕ら大丈夫ですかね」と相談に来ます。
そういう人たちに僕は映画『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』に出てくるおじいさんの話をするんです。おじいさんのセリフに「ワシが落ちたのはミルクの海だった。溺れまいとジタバタしていたらミルクが固まってチーズになって助かった」というのがあるんです。優秀で真面目な奴ががむしゃらにやったら、何とかなる。大事なのは懸命にジタバタすることじゃないでしょうか。
日本のベンチャーがリクルートに学べること
――日本の大学発ベンチャーの嚆矢と言えるのがリクルート。かつて「リクルート事件」で創業者、江副浩正の社会的評価は地に落ちましたが、今やこの会社の株式時価総額は8兆円を超え、3月5日時点で日本7位です。リクルート、江副浩正をどう評価しますか。
辻:僕は1人の起業家、経営者として、江副さんにものすごく興味がありました。多くの社員が40歳までに会社を辞めて起業したり転職したりする文化、仕事をやらされるのではなく、自らやる文化。そういう企業文化や仕組みを江副さんがどうやって作っていったのか。『起業の天才!』はノンフィクションというより、むしろ「経営の実用書」と読みました。
丹下:僕はこの本に出てくる「理工系の優秀な学生を採用するためにスーパーコンピューターを買った」というエピソードがとても好きです。設備投資に見えて、実は人に投資をしていたという考え方は、経営者としてとても参考になります。創業者世代で終わらない会社の仕組みを作ったという意味でも、僕ら後進の起業家から見てすごい人です。
山本:今のリクルートの社長(峰岸真澄氏)は頻繁にシリコンバレーに来るんです。子会社関係だけなく、そこでいろいろな人に会い、会社を訪ねて最先端の情報を収集していく。あの規模の会社で社長がそこまでのバイタリティで動く会社は珍しい。会社を辞めた社員が「自分たちは元リクルートだ」と誇りを持って働いているのもすごいです。
「伝説の営業マン」「伝説の編集長」が何百人、何千人もいて、「あの仕事は俺がやったんだ」と胸を張っている。凄まじい当事者意識ですよね。
日本での時価総額は8兆円ですが、あの会社がアメリカにあり、持っているデータを人工知能で使いこなせば、20兆円を超える評価をされていてもおかしくないと思います。
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