ボルボとホンダに見る「EVシフト」の二極分化 EV100%宣言のボルボ、BtoBに商機を見るホンダ

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オンライン販売への移行に伴い、ボルボ(本社および各国現地法人)と販売代理店との関係はこれからどうなるのか。

これについては「販売店の役割は当然変わると思う。例えば、販売担当者はオンラインで購入したユーザーのサポート役となる。ただし、車両の引き渡しやサービス入庫(整備)など基本的な業務は変わらない」と言うにとどめた。

オンライン購入のイメージ(写真:ボルボ・カーズ)

なお、日本での「C40 Recharge」の初期販売分100台については、年齢などの制限をつけず比較的手頃な料金設定で保険などを込々としたサブスクリプションで販売するという。金額など詳細は追って発表される。

もう1点、パーソン社長には中古車市場への介入の可能性についても聞いた。なぜならば、例えば日産「リーフ」の場合、中古車価格が同年代のガソリン車やハイブリッド車と比べてかなり低く、これが新車販売に少なからず影響を及ぼしているからだ。

一方、テスラの場合、バッテリーの劣化度合いが大きい車両などはテスラが買い取り、市場に出回る中古車のクオリティを保つことで、新車購入に対する好循環を生んでいると言われている。

こうした指摘をしたところ、パーソン社長は「弊社として中古車市場(をコントロールするような動き)に積極的に関わることは考えていない。人気車であれば、必然的に中古車価格も高く維持されるはずだ」と正当論で切り返した。

ホンダの新EV戦略「eMaaS」

パーソン社長との意見交換を行った数時間前、筆者は第11回国際スマートグリッドEXPO(2021年3月3~5日:東京ビッグサイト)のホンダブースで、ホンダが進める新たなるEV戦略について開発統括者から詳しい説明を受けた。

そこで発表されたのは、初期モデルと重量を変えず電気容量を1kWhから1.3kWhへと拡大とした脱着式バッテリー「モバイルパワーパックe」を活用するEV構想だ。

ホンダがインドで社会実証を行っている電動リキシャ(筆者撮影)

電動3輪車、電動リキシャ(インドでの小型タクシー)など電動車に使うほか、このモバイルパワーパックeを2つ利用するモバイルバッテリー、4つ利用する家庭用定置型バッテリーステーションなど、さまざまな用途に応用するという。

ホンダはこれを「eMaaS(イーマース)」と呼び、電動モビリティとエネルギーサービスの融合を目指す。

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