YouTubeをビジネスで使う「2つの重要メリット」 マーケティングに有用なデータも得られる

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視聴回数が増加していくと、次にYouTube以外の場所からも動画が視聴され始めたのです。その動画で訴求している調理器具の種類や料理について、ユーザーが会話するSNSやWebサイトなどに、その動画が掲載されたことが理由でした。

動画がユーザー同士で共有され、YouTube内だけでなく、たまたま掲載されたWebサイトを訪れた、動画を見ようと思っていなかったユーザーにも視聴される状態となったことは、YouTube活用での副次的効果と言えるでしょう。

このほかにも、YouTubeで動画を公開し、適切なメタデータを設定することでGoogleなどの検索エンジンの結果に表示され、動画が視聴されるケースもあります。

この傾向がとくに強く見られるのはニッチな市場の商品の動画の場合です。市場がニッチであるほど、関連するほかの動画も少なくなり、検索結果でも自社の動画が上位に表示されることになります。そのため、Webページの閲覧を目的に検索したユーザーから動画の視聴が獲得できるといった状態になることもあります。

視聴データから得られる効果的なマーケティングデータ

2つ目に企業がYouTube活用で期待できる効果は「マーケティングデータの収集」です。

先述のとおり、YouTubeはその動画に興味のある可能性が高いユーザーに表示されます。表示される場所は主に「YouTube検索」「関連動画」「トップページ」の3カ所で、これらを「トラフィックソース」と呼びます。自社チャンネルで公開しているそれぞれの動画が、ユーザーからどのトラフィックソースから視聴されたかを把握することで、彼らがどのような動画や内容に興味を持つ傾向があるか推測することができます。

トラフィックソースのほかに、YouTubeでは年齢や性別、動画をどの程度視聴したか、どのようなキーワードで何回動画が表示されたのかなど、さまざまな視聴データを確認することができます。

例えばYouTube内の検索から視聴に至ったデータを確認する場合、とあるキーワードでは最後まで視聴される割合が低く、別のキーワードでは比較的最後まで視聴される割合が高いといったデータが出ることがあります。

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そのほかにも、YouTubeはタイトルなどに設定されている文字以外で検索しているユーザーにも、その動画を視聴する可能性が高いと判断した場合は表示することがあるため、1本の動画でも幅広い視聴データを収集することが可能です。

視聴データは動画を公開すれば確実に取得できるため、潜在顧客やユーザーの興味についてのマーケティング情報を得ることが可能です。

プロモーションツールとしてYouTubeを活用することを検討している企業は多くありますが、まずは動画を社内で制作して試験的にYouTubeチャンネルを運用してみることが大切です。そのときには、動画の出演者として、社員が直接動画を視聴しているユーザーに商品を説明することに企業のYouTube活用のよさがあります。

YouTubeはこれまでの宣伝広告では伝えきれなかったメッセージをユーザーに届けられ、ユーザーからの反応をデータとして得られるプロモーションツールです。ユーザーとの関係を築いていくツールとしてとても有効なツールになります。

木村 健人 株式会社動画屋 代表取締役

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きむら・けんと / Kento Kimura

1988年生。サンフランシスコ州立大学芸術学部卒。ゲーム制作会社及びIT関連会社を経て、2016年よりYouTube動画SEOサービスを開始。メーカーを中心に企業公式YouTubeチャンネルを手掛け、視聴回数を大幅に改善させる。現在、大手企業から多数の依頼を受ける。著書『広報PR・マーケッターのためのYouTube動画SEO最強の教科書』(秀和システム)、『YouTubeでビジネスを伸ばす動画の成功法則』(SBクリエイティブ)。

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