フラフラになって倒れる子育てはもういい あくまでも子ども目線でーー文京区長(下)

✎ 1〜 ✎ 5 ✎ 6 ✎ 7 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

なんでもかんでも、全力で頑張らなくていい

成澤:それから、今は、子育て支援の軸足が共働きモデルにシフトしてますよね。でも専業主婦の家庭もまだまだたくさんあって、そういうご家庭は、両方の親がイーブンに子育てに参加することはできません。その分、何らかのサポートがないと、専業主婦も倒れちゃう。

坂之上:本当にそうですね。

成澤: 一方、共働きのご家庭では、お父さんもお母さんも、フラフラになるまで働いて帰ってきて、その後に家事もして、子育てもして、土日は子どもと一生懸命遊んでって、それじゃくたびれて当たり前でしょう。

「なんでもかんでも全部頑張る!」という考え方は、もうそろそろやめにしないと、みんな倒れてしまうんじゃないかなと思います。

坂之上:これからの20年、子育てだけでなく、介護も大きな問題になりますし。

成澤:そうですよ。だけどこの国は、働き方の見直しをまったくできないかというと、決してそんなことはありません。35年前ぐらいに週休2日制が始まったとき、「週休2日になったら、中小零細は雇用が守れなくて潰れてしまう」とずいぶんうるさく言われたそうです。

ところが、働き方を見直して潰れた会社ってのはないらしいですね。効率がよくなって、逆に業績が上がったという会社はあるみたいですが。だから、働き方の見直しはできるはずなのです。

そんなふうに社会が切り替わらないと、少子化の問題はたぶん解決しません。お父さんもお母さんも忙しすぎて、ポキッと折れちゃいます。

坂之上:同感です。

区全域で、6時まで預かってくれる幼稚園をスタート

成澤:だからね、幼稚園は午前中で終わるのが大原則ですが、文京区の区立の幼稚園は、この4月からすべて、6時までの預かり保育を始めます。もちろん、追加の料金はかかりますが。

坂之上:幼稚園が、6時までなんですか?

成澤:はい。朝をあと1時間早めちゃえば、もう保育所と変わらない預かり時間になります。

ただ、この幼稚園のサポートというのは、主にパートをしている人たち向けです。今、「保活」とまで言われているぐらいで、微妙な「点数」の違いで、保育所に入れたり、入れなかったりしてるじゃないですか。すると、パートタイマーの方たちのお子さんは、ほとんど保育所に入れません。

だけど幼稚園が預かり保育に力を入れたら、週に数日の勤めだとか、夕方早めに帰れる方は救えるのです。もちろん、100%救えるわけじゃないとは思いますけど。

坂之上:助かる人が、確実に増えますね。

成澤:そうなんです。

坂之上:やっぱり、成澤さんがおっしゃっている使いやすいベビーシッターとか、幼稚園に時間延長で預けられる制度というのは、地味だけど、大きいインパクトがあると思うんですよね。

成澤:ありがとうございます。頑張ります。まだ秘密ですが、今、区ですごいアイデアを計画中なんですよ(笑)。

坂之上:秘密(笑)? なんなんでしょう。なんだか、楽しみです。

(構成:石川香苗子、撮影:尾形文繁)

坂之上 洋子 経営ストラテジスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

さかのうえ ようこ / Yoko Sakanoue

経営ストラテジスト/作家。国際機関、官庁、大学、社会起業家/NGO/NPO/企業経営者等へ「どうすれば、社会に良いインパクトを与えることができるか」をキーワードに経営ブランディングの戦略構築を行う。Newsweekの世界が認めた日本女性100人の一人に選出。中国系アメリカ人で数学者の旦那と三ヶ国語を話す多国籍の娘と3人暮らし。現在、拠点は、東京、北京 、軽井沢。時々ニューヨーク。著書に『結婚のずっと前』『犬も歩けば英語にあたる

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事