なんでもかんでも、全力で頑張らなくていい
成澤:それから、今は、子育て支援の軸足が共働きモデルにシフトしてますよね。でも専業主婦の家庭もまだまだたくさんあって、そういうご家庭は、両方の親がイーブンに子育てに参加することはできません。その分、何らかのサポートがないと、専業主婦も倒れちゃう。
坂之上:本当にそうですね。
成澤: 一方、共働きのご家庭では、お父さんもお母さんも、フラフラになるまで働いて帰ってきて、その後に家事もして、子育てもして、土日は子どもと一生懸命遊んでって、それじゃくたびれて当たり前でしょう。
「なんでもかんでも全部頑張る!」という考え方は、もうそろそろやめにしないと、みんな倒れてしまうんじゃないかなと思います。
坂之上:これからの20年、子育てだけでなく、介護も大きな問題になりますし。
成澤:そうですよ。だけどこの国は、働き方の見直しをまったくできないかというと、決してそんなことはありません。35年前ぐらいに週休2日制が始まったとき、「週休2日になったら、中小零細は雇用が守れなくて潰れてしまう」とずいぶんうるさく言われたそうです。
ところが、働き方を見直して潰れた会社ってのはないらしいですね。効率がよくなって、逆に業績が上がったという会社はあるみたいですが。だから、働き方の見直しはできるはずなのです。
そんなふうに社会が切り替わらないと、少子化の問題はたぶん解決しません。お父さんもお母さんも忙しすぎて、ポキッと折れちゃいます。
坂之上:同感です。
区全域で、6時まで預かってくれる幼稚園をスタート
成澤:だからね、幼稚園は午前中で終わるのが大原則ですが、文京区の区立の幼稚園は、この4月からすべて、6時までの預かり保育を始めます。もちろん、追加の料金はかかりますが。
坂之上:幼稚園が、6時までなんですか?
成澤:はい。朝をあと1時間早めちゃえば、もう保育所と変わらない預かり時間になります。
ただ、この幼稚園のサポートというのは、主にパートをしている人たち向けです。今、「保活」とまで言われているぐらいで、微妙な「点数」の違いで、保育所に入れたり、入れなかったりしてるじゃないですか。すると、パートタイマーの方たちのお子さんは、ほとんど保育所に入れません。
だけど幼稚園が預かり保育に力を入れたら、週に数日の勤めだとか、夕方早めに帰れる方は救えるのです。もちろん、100%救えるわけじゃないとは思いますけど。
坂之上:助かる人が、確実に増えますね。
成澤:そうなんです。
坂之上:やっぱり、成澤さんがおっしゃっている使いやすいベビーシッターとか、幼稚園に時間延長で預けられる制度というのは、地味だけど、大きいインパクトがあると思うんですよね。
成澤:ありがとうございます。頑張ります。まだ秘密ですが、今、区ですごいアイデアを計画中なんですよ(笑)。
坂之上:秘密(笑)? なんなんでしょう。なんだか、楽しみです。
(構成:石川香苗子、撮影:尾形文繁)
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