コロナ後が逆に不安な人々が実は少なくない訳 生活や仕事の自律性、非日常を失うという反動

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以降、多かれ少なかれ新しい状況に自分を適応させる努力が、物心両面でなされたはずである。いわば「非常時への適応」が広く推奨されたわけである。だが、当たり前だがコロナが収束すれば、今度は「日常への適応」が必要になる。これは自然災害などに遭遇したストレス反応の経過における「再適応期」に当たる問題として捉えられる。

4段階の心理的回復プロセスに当てはめると

災害の心理的回復プロセスは、一般的に「英雄期」「ハネムーン期」「幻滅期」「再建期」の4つに分けられるという。

① 英雄期・・・災害当初、自分と家族、近隣の人々のために誰もが必死になる時期(災害直後)
②ハネムーン期・・・劇的な体験を生き延びた人々が助け合い、連帯のムードに包まれる時期(1週間〜6カ月)
③幻滅期・・・避難生活の疲れなどから不満が噴出し、怒りの感情などが表面化し、住民同士のトラブルなどが目立ち始める時期(2カ月〜1、2年)
④再建期・・・被災地に「日常」が戻り始め、生活の建て直しが進んでいく一方で、復興ムードから取り残される人々や、精神的な支えを失った人々の問題がくすぶり続ける(数年間)
(デビッド・ロモ『災害と心のケア ハンドブック』水澤都加佐監訳、アスク・ヒューマン・ケア)

地震や風水害などの自然災害と異なり、感染症の流行などの生物災害(欧米ではパンデミックは感染症災害として扱われる)は、現象そのものが短期間ではなく長期間にわたり、流行の状況や被害の範囲にも左右されるため、必ずしも前述の心理的回復プロセスの通りに進行するわけではないが、「英雄期」「ハネムーン期」を災害への「適応期」、「再建期」を日常への「再適応期」と解釈すればわかりやすいだろう。

次ページコロナに適応しながらプラスの側面から捉え直した
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