年商100倍の急成長 シャープを抜いた! 中国の太陽電池大手・サンテックの驚異

また、06年には日本の太陽電池の主要部品であるモジュールを生産するMSKを123億円で買収、傘下に収めている。MSKの笠原唯男社長は、「買収提案を受ける前から施CEOとは意気投合する知り合いだった。サンテック傘下に入ることで、世界市場に一挙にビジネス範囲が広がった」と語る。

日本の業界関係者には「中国企業に買われるとは」と抵抗感を示す向きもあったが、「企業風土も合う。今でも非常によい選択をしたと自信を持っている」と笠原社長は語る。
 そもそも、サンテックの舵を握る施氏はどのような経歴を持つ人物なのか。1963年、江蘇省出身。名門大学を卒業後、中国で最も権威がある科学研究機関・中国科学院で精密機械を研究した。続いてオーストラリアへ留学して太陽電池技術を学び、現地の電池メーカーに勤務。そして中国に戻り、オーストラリアの仲間とともにサンテックを設立--。

留学経験のある中国人の多くが夢見る、中国型エリートにとっての成功の階段を着々と歩んできた。設立当初のサンテックには、地元政府のベンチャーキャピタルなどが出資していたが、それも納得できるほど“血筋”がいい起業家なのだ。

現在、サンテックの地域別売上高はドイツなど欧州各国7割、中国2割という構成。米国向けはまだ数%ながら、急速に売上高が伸びている。

これらの市場の共通点は、ドイツの「フィードイン・タリフ」(電力会社が太陽光発電の電気を高く買い取る制度)など、個人や企業に発電装置導入のインセンティブとなる制度を政府が設けていることだ。

だがサンテックが近く参入する日本は、勝手が異なる。日本では05年度に導入支援制度が世界でひと足早く廃止され、発電装置の導入件数も廃止を機に横ばいが続いている。日本の大手メーカーが海外市場に活路を求めるのも、国内の市場環境が非常に厳しいからだ。

日本参入について施CEOは、「サンテックは業界でも最も大規模な研究開発チームを持ち、低コストかつ高性能の太陽電池を開発できる能力がある。日本では家庭や消費者の需要に徹底的に合わせた製品を売り込む」と自信を見せる。買収したMSKが日本市場を熟知しているのも心強い材料だろう。

後発の新興国メーカーが市場調達資金を武器に巨額投資を行い、日本企業を追い抜く。この構図に、韓国・台湾企業の後塵を拝した日の丸半導体産業を重ね合わせて見る向きもある。

だが最大の違いは、世界の太陽電池市場がまだ、政策の支援を得てやっと成り立つ脆弱な産業である点だ。今後の産業政策次第では、動向はどのようにも変わりうる。新興のサンテックがこのまま疾走するか、20年の産業史を持つ日本メーカーが巻き返すか。勝負はこれからだ。
(週刊東洋経済)

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