JR西日本「ローカル線見直し」対象線区はどこか 松本清張『砂の器』で有名なあの路線も廃止?

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なお、22区間のうち播但線(兵庫県)の和田山ー寺前間など7区間は、運賃のほか特急料金収入もある特急列車が走っている。輸送密度が小さくても収入は比較的多いから、JR西日本は単独維持を選択するかもしれない。ただその場合でも、特急列車が停車せず利用者も少ない中間駅を廃止するといった策を講じる可能性はある。

ところで、国鉄再建法の基準では廃止対象だった2000人以上〜4000人未満の路線(14線15区間、549.5km)は、JR北海道の基準では単独維持困難路線から除外されており、JR西日本も引き続き単独維持するものと思われる。とはいえ、鉄道を維持するにはやや厳しい条件であることは確かだ。

たとえば、輸送密度が2000人前後だった富山港線は2006年、LRT化されて富山ライトレールに移管(2020年に富山地方鉄道と合併)。同じ富山県内の城端線(2923人)と氷見線(2498人)も、沿線自治体とJR西日本がLRT化などを検討している。

2000人以上でも「見直し」確実

このクラスの線区は、施設改良や経営体制の刷新などで利用者を増やせる余地も大きく、実際に富山港線の輸送密度は2018年度で3000人台まで上昇した。2000人以上の路線でも、利用者を増やすという意味での「見直し」は確実に行われるだろう。

JR北海道とは経営環境が異なるし、国鉄再建法でも並行道路の年間不通期間が長い場合などは除外するという規定があった。JR西日本にしても、たとえば見直し対象の輸送密度を1000人未満に絞ったり除外条件を設けたりして、ある程度は柔軟に検討するだろう。とはいえ利用者数は大きな目安の1つで、これを無視して見直し対象線区を選定するとも思えない。

島根県の丸山達也知事は2月19日、長谷川社長の発言を受けて「鉄道網の脆弱な島根県にとって非常に大きな問題だ」と述べ、JR西日本を牽制した。今後、JR西日本と各地の自治体がどのように交渉を進め、議論をしていくことになるのか注目される。

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