JR西日本「ローカル線見直し」対象線区はどこか 松本清張『砂の器』で有名なあの路線も廃止?

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一方、脱線火災事故や検査データ改ざん事件などを機に経営が悪化しているJR北海道は2016年11月、原則として輸送密度が2000人未満の線区を「当社単独では維持することが困難な線区」として発表した。

この発表では、200人未満の線区はバス転換を軸に沿線自治体と協議するとし、札沼線の北海道医療大学ー新十津川間(輸送密度は2015年度で79人)が2020年に廃止された。200人以上~2000人未満の線区は、公的支援の充実など条件付きで鉄道維持を検討する考えを示している。

国鉄再建法とJR北海道ともに輸送密度を基準としているが、JR北海道は2000人未満を対象とし、国鉄時代よりは対象範囲を絞っている。ワンマン運転の実施など国鉄時代に行われなかったコスト削減で、輸送量が少なくてもある程度は維持できるようになったためだろう。

また、国鉄再建法は路線の起点から終点まで「全線」平均の輸送密度を基準としていた。そのため、利用者が多い区間を含んでいても、全体の輸送密度が小さければ全線が廃止対象になるという問題があった。JR北海道は利用実態にあわせ、1つの路線を複数に分けて輸送密度を出し、これに基づき利用者の少ない区間のみ「当社単独では維持困難」としている。

厳しい中国山地のローカル線

おそらくはJR西日本も、各線を複数に分けた「線区」ごとの輸送密度で見直し対象の線区を選定するとみられる。実際、同社が可部線(広島県)を廃止したときも、とくに利用者が少なかった可部―三段峡間のみ廃止(2003年)して、利用者が多い横川―可部間は残した。

JR西日本が公表している各線区の輸送密度(2019年度)をJR北海道が示した基準に当てはめてみると、見直しの対象となりそうな線区(輸送密度2000人未満)は17線の28区間、総距離(営業キロベース)は同社全線の3割近い1377.3kmに及ぶ。

このうち、バス転換を軸に沿線自治体と協議することになりそうな線区(輸送密度200人未満)は5線6区間の合計255.1km。大半が中国山地の過疎地を走るローカル線で、三段式スイッチバックや松本清張の小説『砂の器』で有名な亀嵩駅がある木次線(島根県・広島県)も含まれる。

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